別れの時間 漕戸 もり
あなたとの別れの時間が近づいてわたしはついつい涙ぐんでしまう
美味しいねおいしいねと言い合うときも
秋など無いのとおなじだと嘯くときも
想いがちっとも絡みあわなくて背中を合わせているときも
動物みたいに求めるときも
植物みたいに寄り添うときも
ほかのひとをおもって過ごす夜も
平和の、とわざわざ付ける俳句がある日曜日も
健康福祉局健康部健康推進課という場所が存在してもしなくても
コードレスといきなり決まって行方不明になったコードたちの暗闇にも
一切合切にさようならは近づいて
小松菜と林檎とバナナとプロテインをミキサーで砕いているとき
津波のように押し寄せてくる
これさえ飲めば永遠に死なないような栄養を前にして
生きるたびに別れの時間はふつふつと泡立って
わたしのくちびるを塞ぐ
だから
自死するように
わたしから恋人と別れたの、と
ともだちは透きとおった肌色のカーディガンを
腕を通さず羽織うので
別れの時間が近づいてわたしはまた涙ぐむ
恒例の一発録り。
アクセントが違うところもありますが、お許しを。
※再生できない端末があるみたいです。
もしよろしければYouTube漕戸もりで検索ください。