体重を増やす上司の胸元にきれいな色の目薬透ける
(漕戸 もり 2022年9月25日 中日歌壇 島田修三選)
毎回島田先生には、日常こそしっかり見ろと教えられる。
お会いしたこともないのに、いつも叱られている気がする。
ありがたいことだ。
すこしばかり短歌や俳句を嗜むからといって、
感情の着地点に覚えたての言葉を駆使し、わざわざ遠回りしなくてもいい。
日常茶飯事というではないか。
お茶を飲むようなご飯を食べるようなことに、借りてきたような言葉はいらない。
以前、東桜歌会でご一緒させていただいている塔短歌会の吉田淳美さんが
最近の短歌ブームでいろいろなかたちの短歌が溢れているが、
優れた短歌はどんなスタイルでもだれもがいいとおもうものだ、と仰っていた。
その通りだと思う。
学べば学ぶほど、日常を普段着のことばで描くという難しさが立ちはだかる。
今その壁をツルハシでせっせと砕いているところ。
その途中の9月25日だった。
頑張れる。
秀峰とおもへば島田修三を雷火事の次に置きたし 漕戸 もり
