銀座の高級クラブっていうのは、どういう立ち位置にあるのだろうと考えてみた。
 
①そこに働く人がダメお客様もダメ
②そこに働く人はいいお客様もいい
③そこに働く人はいいお客様はダメ
④そこに働く人はダメお客様はいい
 
わたしが大学時代、夏の僅かを銀座の高級クラブでアルバイトしていたときは、
バブルの影響もあったせいか、④と思い込まされていたような気がする。
あの…やはり…そうとうな臨機応変が銀座の女には求められていたんだと思う。
あの頃がよかったというわけではなく。
近頃、個人的に昆虫姿が大好きだった俳優さんが悪い意味で話題になっていたので、
いろいろ思い出してしまった。
真実はさておき、お酒の席で下着をはぎ取られたり股間に手を突っ込まれたり、
それらは研修の時にさんざん叩き込まれ、特に政治、建設、法曹、医師、伝統芸能、文学の著名人の席に呼ばれた際には、まるで酔い止めを飲んでから乗車する遠足のバスのようなものだった。
それはたしかに居心地が悪い。
だけれども、ここにはとてつもない報酬が発生するのだし、それに、下着をはぎ取られることも股間に手を入れられることも、髪を手づかみで振り回されるというような銀座ではあるまじき行為でも、全身全霊を使えば、赤子の手をひねるが如く宥めるのは容易なことだった。
だってあなた、こちとら銀座の女なんすよ。たかがアルバイトでも。
 
お客様の失態があからさまになるなんて!
そのうえ数年前の出来事が。
 
俳優さんもダメージだけれども、ばらしたこちらも相当のダメージでしょう。
関係者ではないのでだれに責任を、と問い詰めるつもりは毛頭ないけれど、今回は
お客様(話題の俳優)に 見る目 がなかったのかもしれないと思ってしまうのです。
銀座のクラブというと、エントランスに蘭やカトレアが飾られ、バカラのグラスで竹鶴のロックと傍らにエビアン水というイメージがあるかもしれないが(ほんの一例)、場末のスナックみたいなクラブもあるから注意しなければならない。
注意といえども、そちらのほうが良心的な価格設定とお客様の手に届きそうなママと、非常に機転のきくちいママがいるので、聞けば蔵が立つくらい繁盛していたお店もあったのだから、例えは少々間違っているのかもしれないが。
 
宝塚みたいな衣装が着たかった、と言って一緒にアルバイトをしていた同僚が、今では誰もが知る日本の宝のような経営者の妻になっていることや、その経営者の口臭がいつも生ごみの匂いをさせていたことなどと比べると、カマキリ俳優の事件なんて、なんとも銀座の寺山修司みたいで(イメージ)精神も芸術も思想も猥褻さもごちゃまぜにしたように、美しいとさえ感じてしまう。
いい意味でも寛容な我が国のこと。

すこし痩せて素敵になったカマキリとして、じきに蘇ってくるのだろう。

 
写真は紙ふうせん。
褒美であるけれど、御朱印であるようなもったいない思いで、
空中を手で 心 と切っていただいた。
弱っているときは、なぜかありがとうばかり言っている。
それはなんだか謝っているみたいにみえる。最近背骨が痛いのは、どうやらこのせいらしい。
 
 
   乳絞る手を払いのけ初嵐   漕戸 もり
 
 
 
あんなに勉強したのに天気当たらんねえ、と天気予報士の友だちに愚痴る今日だった。