ご無沙汰していますがいかがお過ごしでしたか。(おまえだろってことですが
)
新型コロナウイルスに感染していました。
家庭内感染で、家人は一瞬発熱をしてその後は咳のみの軽症だったので、
クーラーで喉を痛めたかくらいの認識でかかりつけの医院に出かけ、
念のためPCR検査を受け待つこと一日。
翌日医院から陽性反応が出たと連絡があり、そこから10日間の隔離という顛末。
え?わたしはもしかして濃厚接触者?
どうしましょう。
というか今更どうしたらいいんですか?
寝室はもとよりタオル類は別々、なんなら食事も、朝昼は別々。夕飯も時間差でいただくけれど、
細かいことをいえばわたしが作るものをそれぞれが食べるのでそれもやめたほうがいいの?
もしかしてわたしは濃厚接触者じゃないのでは?などと悩みつつ
とりあえず家庭内ではマスクでもしておきましょうか、と呑気に構えていたのだが、
夫が陽性だとわかった日の夜、
やばっ?
体の節々が痛い。
熱を測るけれど、36度と少しのまま発熱なし。
え?でもたしかにいつもと違う。
なんだなんだ???と、
ホラー映画の殺気が迫りくるときの効果音を不吉な気持ちで感じながら就寝。
銅鑼の鳴り響く音(イメージ)で朝を迎える前に悪寒。発熱。
家人の(陽性反応とはいえほぼ無症状だったので、医師の判断を仰ぎながらサイクリング
に出かけるくらいの陽気さ。陽性反応とは何やら朗らかなことを指すのではないかと間違えそうになった
)症状と比べると、トンビが鷹を生むとはまさにこのことで、パブロンの箱に明記されている風邪の主症状すべてがわたしに集結した。
嵐は去った。
すっ飛ばし過ぎと思うなかれ
なにしろ文字を書くのも読むのもできなかった。
ミニトマト一粒の画像で吐く。水が異様に甘い。暑いのに寒い。
喉に、熱した小手を押し付けているというような痛み。
もう一度言う。
嵐は去った
が。
味覚臭覚が戻らない
匂いはまだいい。
肉や魚の匂いに触れるのが気になるものだから、使い捨てのビニル手袋の着用でしか調理できなかったのが、匂いがわからないおかげ?で素手で触れられるという利点がある。
(素手でひき肉を捏ねるのはなんと開放的なのだろう
)
一方、
味がないのはとことん辛い
辛味や苦味、甘味はなんとなくわかる。
うま味がないのだ。
韓国から取り寄せなんにでも振りかけている一味唐辛子の粗挽きと顆粒のブレンドしたものも、
ただ辛いだけなので、すっかり登場機会がなくなってしまった。
胡麻や鰹節のようなうま味でできているような食品は、もはや砂か埃でしかない
唐辛子も胡麻や鰹節もカレー粉ですら、実はうま味が9割。キレが1割なのだった。
もうひとつ。
うま味とキレといえば、あなた。
ビールでしょう
もちろんNO



美味しいビールは苦味で決まると仰るかたもいると思うが、いやいや
…。
ビールはうま味にかかっていたのだ。
ただ苦いだけの(苦い粉薬を思い浮かべてほしい
)炭酸水は拷問だ。
こうしてわたしの長すぎる夏休みは終わったような続いているような、
いつまでたっても掘り起こしては埋めている高速道路の修繕のように、
実に曖昧ななかにいるのです。
申し訳ないほど畳む夏帽子 漕戸 もり(2022年7月31日中日俳壇三席・高柳克弘選)
夏帽子は畳んだまま来年の夏へ
