動物嫌いを宣言したついでに、長年お世話をさせていただいている方々をせっかくだからご紹介しておこうと撮影してみた。
大きい方がメスのクサガメ、小さいのがオスのイシガメだ。
鶴は千年亀は万年というけれど、この子たちは前の前の住居からほぼずっと一緒に転居してきて、クサガメはすでに20年ほどになる。小さなイシガメでも17.8年は経っている。
仕事中市郊外の川べりを車で走っていた家人が、車道に歩いていたクサガメの子を拾ってきたのがきっかけだった。今では全長15㌢ほどになるクサガメも、拾ってきたときはわずか5㌢に満たないサイズで、金魚のような感覚でちいさな水槽に小石と水を流し入れベランダで飼いはじめた。
早速亀図鑑をいくつか読み漁ると、亀はエサをやればやるだけ食べ、あっというまにウミガメクラスの大きさになるという恐ろしい記述をみつけたので、エサは少量を一日一回。
亀は爬虫綱なのでよくみると恐ろしい顔をしているのだが、意外にきれい好きというので水換えやゲージ掃除は毎日の日課となった。そして数年後、再び家人が同じような河川敷の車道でイシガメを拾ってきたので、生き物係(わたし笑い泣き)の仕事は二倍となった。
 
なんで拾ってくんねんびっくりマーク
 
だって目が合ったんだから仕方がない、自分も世話をするからウインク、とずるがしこい子どものようなことを言っておきながら有言実行したのは0日だったこと、永久に忘れませんから真顔
クサガメとイシガメという別の種を同じゲージに入れて飼うのはよくないらしいので、最初から別々の水槽だったけど、亀の世話がどうにもしんどくなっていたある日、ためしにひとつの水槽に入れてみた。
二匹の性別を知ったのはそのときだ。ちいさなイシガメがおおきなクサガメを追い回して追い回して、ついに尾をかみちぎってしまったガーン
元々カメは、大きくなるまで性別がわかりにくいのでそのままにしていたのだが、亀図鑑を参考に改めて尾の部分をよく見てみると、明らかに男が女を追い回していたのだった滝汗
たくましい昭和の男、いや正確には平成の男なのだろうが、久々に女性を追いかける猛々しい男性を見て感心したものだ。
 
カメの話をしだすと、なんて言っても20年なので何時間あっても足りない。
家人はもう亀の存在は、ただあたりまえにそこにあるタペストリーや絵画のように見えるようで、クサガメが無精卵を産み、割れた卵と殻と油で水が汚れにまみれていたとしても(クサガメは卵を餌と思い突いてしまうようだ)気付いたためしがない。というか、見ていないのだから知らないプンプン
少し大きいクサガメが、ゲージ(水槽の掃除と水替えが大変なので、いつしかゲージはプラスチック製衣装ケースに。衣装ケースは軽くて扱いがしやすいが、一年中ベランダに置いておくと劣化して亀裂が入るため、年に数回は買い替えが必要となる)を超えてベランダから落下し、大捜索の果て警察署に保管されていたこともあった。
我が家は高層階なので、落下のため胸が割れ、泡を吹き、血を流し、瀕死の状態から奇跡のカムバックをしたのも、亀界のレジェンドに名を連ねそうなエピソードである。たぶんこんな高さから落下してまだ生きているというのは奇跡に近いと思う。
ここまで嬉々として書いていると、自分でも動物が嫌いと言えないんじゃないか、と思わなくもないが、実は、家人が拾ってきたとき以来カメを素手で触れたことがない滝汗
爬虫鋼の鱗や首筋の模様がもう無理で泣
ゴム手袋越しに、むんずとつかんでできるだけ模様を見ないように水を替えたりゲージを洗ったりって、はたから見ていると愛情のかけらもなさそうに見えるだろう。
でもあら不思議。
どうやら、嫌いだから愛情が沸かない、ということではないらしい。
長く一緒にいたもん勝ちなのだろう。
家族とはそんなものだとおもう。
今日もゴム手袋を装着した手で、カメをむんずとつかみ束子で甲羅を擦るのだった。
 
 
 
  尖りない亀の子束子万年目
      漕戸 もり