しおじのし -33ページ目

   しおじのし

  ー裏路地の one dropー

毎日変わらない。
車窓のビルはグレー。
毎日変わらない。
ランチのスープはグリーン。
毎晩変わらない。
街の灯りはパープル。

部屋に居るのは別の私
デパートの喫煙所
図書館のソファー
いらっしゃいと呼び込む街
忌々しい大人の音
車両の隅に立つ生活に、
いつの日にか住み慣れた私。

まだ…

なにも終わってないのに
追い出された故郷に
振り返る想いばかりの
追い出された故郷。

まだなにも終わってないのに。
ベランダの柵に停まる鳥だって
悲しい歌ばかり唄わない。
ランドセルを揺らしながら歌う
君たちの過去も今も
夕日の向こう側の詩を書くよ。

僕らのしてきた約束は、
君たちのためにと詩を書くよ。
そう言ったあの人たちの夢。
決して乱暴には唄わないこと。

大切に唄うこと。



夜行列車の見知らぬ隣から
時折香るにほいを感じながら
思い出すのは 君との夜じゃない。
まぶたに映し出そうとする
想いは悲しい夜の灯り。

離れて暮らした日々は
思い出のインク消しにはなれない。
つらい悲しい夜も
灯りをともしていたフタリを
まぶたに映し出そうとする。

また香る…
誰にも悟られたくない香りは
繰り返し、
繰り返し弾けては消える。