基本的に蕎麦かうどんかと聞かれれば、蕎麦派だ。江戸っ子がうどんなんて喰えるけぇ、なんて若いころは見栄を張っていたものだ。江戸っ子ではなく、どっちかというと浜っ子だけど(今は須賀っ子)。
けれども、ある時関西風の出汁でいただいたうどん 大学生の時、西武池袋線池袋駅構内でこれを喰った。その時、うどんに開眼した。
駅の立ち食い蕎麦が好きでその頃からよく喰っていたけど、茹で麺のうどんが関東風の出汁に入ったやつはちょっとご遠慮の対象だった。
でも、関西風ならば美味い。
さらにある時「恐るべき讃岐うどん」という本を読んで、これは喰ってみたいと思った。この本に登場する何軒かから麺を取り寄せて喰った。腰があって、なんて美味いんだ・・・
10年ほど前から、御殿場の「時の栖」へ泊りにいくようになった。車でいくので、富士五湖などにもたびたび足を運んだ。忍野八海や山中湖周辺で喰った富士吉田のうどんを喰って驚いた。讃岐うどんの比ではない腰、ゴリゴリと形容したくなる麺の食感にはまった。
少し前には、白楽で武蔵野うどんも喰った。
これが私のうどん歴・・・基本的に腰の強い麺が好きだ。そうだ、それほど腰はないけれども、横浜駅の相鉄線の構内にある「星のうどん」はそのつゆが好きで線を利用する時はほぼ必ず立ち寄るな。
そしてだ、京急の金沢文庫で、この富士吉田うどんが喰える店を発見してしまったのだ。発見したのは少し前だったが、ずっとコロナ禍で店を閉めていた。今回訪問して判明したのは、この店は居酒屋なのね。
店の名前を「たつ」という。
店の横にはこうやって富士吉田うどんを売りとしてあげているが、入り口上の大きな看板にはうどんのことは触れられていない。
メニューはこんな感じ。居酒屋であるならば、まずは一杯いただこう。うどんのことを聞いたら茹で上がるまで少し時間がかかるというし。
シャリキンがあるならそれもらおう。シャリキンというのは、凍らせた焼酎ね。これにレモンサワーの素を注いて。出来上がり。最後まで冷たく呑める。
つまみには看板にも書いてある煮込みを。これはごくごくオーソドックスなやつ。これをつまみにシャリキンを呑んでいるうちに、うどんが出来上がってきた。
そうこうやって、茹でたキャベツを添えるのも富士吉田流。揚げ玉をたっぷりと入れたつけ汁に入れて啜る。いや、啜れない。そうなのだ、滑らかなのどごしを富士吉田うどんに求めちゃいけないのだ。口をわしわしと動かしながら、口の中に手繰りこんでいく。
この硬すぎるほどの腰。まさしく富士吉田のうどんだ。
よもや、金沢文庫で喰えるとは思わなかったぜ。美味い、美味い。
喰い終えて、当然思った。またこよう。
前にもアップしたが、駅から徒歩5分強のこの店への途中、小田和正さんのご実家の薬屋さんがある。この佇まいが好きなのだ。