『別嬢』松尾茂夫さん追悼特集号 | 喫茶店の書斎から

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『別嬢』(114号、追悼 松尾茂夫)をお贈りいただいた。



「追悼 松尾茂夫」となっています。
今年4月1日にお亡くなりになった加古川の詩人、松尾さんへの追悼号です。
松尾さんについては以前このブログでも書きましたが、わたしもお世話
になった人です。
 昔出していた同人誌『風媒花』の印刷を、編集者岩川昌子さんを通じて善意で引き受けて出してくださっていたのでした。
そのおかげで、わたしの第一詩集『工場風景』が出せました。私家版で30部だけの出版でしたが、杉山平一氏が「ほめ過ぎかもしれませんが」と評価して下さり、その後への自信が持てたのでした。
また、松尾さんはわたしの書くものを早くから「怖い詩を書く人や」などと注目して下さったのでした。
そんなわけで、この追悼号にはとりわけ想いが深いです。
何人かのゆかりの人の追悼文も心にしみて良かったですが、ご息女の七彩さんの詩には泣けました。
七彩さんは詩を書き始めてまだ二年ほどとのことですが、さすがと思いました。
先ず「令和三年四月一日の詩(うた)」です。
それぞれ順に画面をクリックして読んでください。






そしてもう一篇。
「ウイスキーの方舟」。




松尾さんを知っているだけに、胸に迫るものがあります。
最後の《あなたは美しいウイスキーの方舟に ただしんと横たわり、深く目を閉じていた》なんて、たまりません。
七彩さんのほかの作品「紫雲」「糸雨」もつよく胸を打つものでした。

七彩さんは先にも書いたように、ここ二年ばかり前から詩を書き始められたということで、父親の茂夫さんとは詩について話す機会がなかったということです。
でもこうして、追悼号にいい詩が載って、松尾さんも泉下で喜んでおられることでしょう。
あらためまして、ご冥福をお祈りいたします。松尾さん、ありがとうございました。

『触媒のうた』
『コーヒーカップの耳』