《父の 胃瘻管交換(麻酔あり)のため
面会はできずとも 院内待機
問題なければ(問題なしでいてくれろっ!)一時間くらいで 済む
鷹揚に 構えよう 珈琲持って 本も携えて…と
今回のお伴は 大切な 言葉の恩人でもある 今村欣史さんの『完本 コーヒーカップの耳 阪神沿線 喫茶店「輪」人情話』
これの 前身『コーヒーカップの耳 今村欣史詩集』(編集工房ノア)は 既に 読み味わっておったものの
加筆 再編集で 今年の二月に 完本として 朝日新聞出版社から 改めて 出版されたもの
前に読んだし
ごっつり 物語に埋没せんでも ひとつひとつの逸話だから~と 油断してた
だあぁ!
ひとつの 逸話ごとに 滲んで
こんなとこで 泣くまい と 押さえようとして
うぐぉふっ…なんて どう 書き表していいかわからないような くぐもった音が 喉の奥から出てしまう
選択ミス…
これは どんどんと 読み進めて読み終わる本ではないのだ
ひとつ ひとつ
読んで 味わい 思い巡らせ 思い返し 浸り
大切に 人の思いを 胸のうちにしまうようにしてゆく ものだったのだ
なんだか 前のも そんな風だったけど
今回のは 詩という 浄化されたものより
もっと その人そのものの存在に 立ち帰り見つめ直して
体温 湿度など 増し増してる感じになってる
ひとつひとつが 小説なんかより もっともっと
物を 人を 語り 愛しく みつめておる
ああぁ
読み進むのもったいなくて(これ以上 泣いてしまうのも まずいので)
本を閉じてしまった
またあとでうちでじっくりと 読み味わおう
ほんっとうに 素晴らしい本だ
そんなこと思ったとき
ちょうど 麻酔の効いた 父が
ガラガラベッド(移動できるベッド)で 施術へと 向かう姿
おぉ と 立ち上がり 見送る
かなしんでないているのではないぞ
人情話に 温まっている 涙だぞ
でも 職員の皆さんに 気取られぬように
よろしくお願いしますっ!と 勢いよく 手を振った
父 ふぁいと!
こんなこと書いてもらうと、こちらの方が泣けてしまいます。
ありがと、ぶんぶんちゃん。
『完本コーヒーカップの耳』