上原勝一さんの絵画 | 喫茶店の書斎から

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上原勝一さんの絵画


その昔、「喫茶・輪」の常連さんだった人に上原勝一さんというお爺ちゃんがおられた。

元々服飾のデザイナーを職業としながら、趣味でも絵を描いておられた人で、素人とは言えない。
スケッチの帰りなどにうちの店に立ち寄り、食事をされるのを楽しみにしておられた。
日本酒が好きな人だった。しかし、うちのメニューにお酒はないので、ほかのお客様に分からないように、お冷グラスにそっと入れてお出しした。
すると一口飲んで、ニコッとされる笑顔がなんとも可愛かった。
そんな上原さん、「ここに置いておいたらいろんな人に見てもらえる」と言って、たくさんの作品を「あんたにあげる」と言って呈上して下さった。
店が忙しかったころは、季節に合わせて入れ替えたりしながら楽しませてもらった。
ところが、阪神大震災でアトリエが全壊し、油彩、水彩、版画、版木などの作品1500点をがれきに埋もれさせてしまい、失意のあまり一気に弱られ、震災の翌年、1996年にお亡くなりになった。89歳だった。
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それからもう23年。店の状況も変わってきたし、わたしも年を取った。上原さんの作品をうちで持ったままでは、この先のことが心配。
ということで、この際ご遺族にお返しすることにし、格納していたところから出してきました。


いい作品がたくさんあります。