『雑誌渉猟日録』~関西古本探検~を読む② | 喫茶店の書斎から

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『雑誌渉猟日録』を読む②です。
「詩同人誌『季』で二詩人の追悼号を読む」の項に備前芳子の名前があって、これはうれしい。
備前さんといってもご存じの方は少ないだろうが、わたしは一度お会いしている。
「喫茶・輪」にご来店くださった。杉山平一先生の紹介だった。
備前さんがまだ『缼席』を出される前のことだった。
もういいかな?こんなこと書いても。
わたしの私家版『工場風景』を杉山平一先生が見て、「こんなのを出す方法を備前さんに教えてあげてほしい」とおっしゃった。
そして備前さんがお見えになったのである。
詩集を出したいが資金が…、ということだった。
『工場風景』はわずか30部ほど、しかも簡易な製本のもので、費用がかからなかったのである。
お教えしたが、結局は後に編集工房ノアから立派なものを出された。
それが『缼席』。いい本だった。表紙絵は杉山先生によるもの。
というより内容が良かった。
シンとしたお人柄を表すような作品が並んでいる。
この項には、チラっと山南律子さんのお名前も出てくるが、山南さんとも一時親しくさせていただいていた。

次の項「『季』に集う俊英詩人たち」に小林重樹さんが登場。
『季』では重要な役目をしておられたようだ。
この人とは親しく話したことはないが、わたしが詩を書き始めたころに思い出がある。
西宮市が文教住宅都市宣言20周年記念に市民の文芸を募集したことがある。
それにわたしも応募したのだが(のちにそれが宮崎翁との縁に)、小林氏も応募しておられて、「夏の酒蔵」という詩で第一席に入っておられた。
その時わたしは「甲山」という詩で第二席だった。第三席が香山雅代さん。
これは忘れられない出来事だった。
その時の選者は、井本木綿子、岡見裕輔、鳥巣郁美の三氏。
ちなみに散文部門の選者に宮崎翁がおられた。

(つづく)