負笈(おいづる)のご詠歌。毎年地蔵盆に上げるご詠歌だが、心に響く歌がいくつもある。唄っていて、ふと心を動かされ、危なく間違いかけることがある。特に終りの方、第33番の谷汲山華厳寺のご詠歌の三番。負笈(おいづる)のご詠歌。 《 いままでは おやとたのみし おひづるを ぬぎて おさむる みののたにぐみ 》わたしが父親を早く亡くしているからかもしれないが、この歌の時には胸詰まる思いがする。初めてこの歌を知った時、これは親を亡くした時の心境を歌ったものだとわたしは思っていた。実際は違うんですけど、最初にそう思ったものだから、ずっとその思いが残っているのである。