『五行聖地』 | 喫茶店の書斎から

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コーヒーカップの耳

和歌山の詩人、中尾彰秀氏よりお贈り頂いた。



詩集『五行聖地』(森羅通信の会出版・2018年5月5日)
全ての詩が五行で成り立っています。
なので、すこぶる読みやすい。難しくても読みやすい感じ。

この詩集にはCDが付録に付いてました。



これを聞きながら心地よく本を読ませていただきました。

では、例によって後記から。

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「詩集は決して人気取りに出すものではない。」が印象的。
この後記を読むと、やはり少し宗教的かな?と思えるふしもあります。

ところで驚いたことがあります。



「静けさの静けさ」!
テレビで米朝首脳会談の報道をやっていて、その場所、セントーサ島というのは「平和の静けさ」という意味があるのだと。
なんという偶然。詩の内容が何かを予感させます。

表紙写真が意味深なのですが、「魂のミディアム(表紙写真より)」という詩があります。

やはりわたしは、少し宗教的と思ってしまいますが…。

おもしろい詩があります。

  「本日限り」

半年後行っても本日限り

年がら年中本日限り

通報を考えたが

今日という至福売っているのだ

小学校手前いつも笑顔の駄菓子屋さん



なるほどね、と思ってしまいます。
それから、これも良かった。
  
  「カーテンの流儀」

風を充分束ねてからヒョコヒョコ腰を振る

中に宇宙の子供でもかくまっているのか

たっぷりの鱗粉夏祭の夕辺に撒き散らすのだ

前生の記憶すら蘇り諸人永々と金魚掬うて

内なる永遠のひかりに抱かれおり



こうしてわたしが抜き出した作品は、もしかしたら中尾様にはご不満かもしれない。
「それはこの詩集の本筋ではない」と言われるかも。
浅読み、お許し下さい。
でも、漢字解体などの言葉遊びも随所に挟まれていて、楽しめる詩集であることもたしかでした。