『ア・テンポ』52 | 喫茶店の書斎から

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コーヒーカップの耳

由良佐知子さんから『ア・テンポ』52号をお贈り頂いた。

この表紙絵いいですねえ。
どなたが描かれた?と思ったら、由良さんでした。彼女はいい抽象画を描く人でもあります。

その由良さんの詩。
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「やわらかいもの」です。
わたしは詩を読み取る力がないものですから、何度も読ませていただいてやっと朧気にわかりました。

彼女はもう一篇「雨恋」という詩を載せておられます。

  怖いほどに朱い空
  誰がみまかったのか
  禍々しい色彩に
  躊躇する新入りの魂
  斑雲の合間よりふりかえる

  空き家の庭を縦断するドクダミ
  照り梅雨も介せず
  着々と増殖中

  薬の薬効は
  消炎 利尿 腫物に
  退屈な日和に臭気のひと嗅ぎ
  茶を好む人も
  そうこうして
  西空は蚊帳のとばりに

  待って
  待って
  どなたさまも
  逝き土産にお持ちになって
  十薬の花束
  雨乞いに効きましょうか

この詩はわたしでも少しはわかります。

次は梅村光明さんの「石のクロニクル」の前半部分。
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詩を紹介するときには本来全篇を上げるべきなのですが、お許しを。
腹の底からしぼり出すような力のこもった詩ですね。
梅村さんはわたしより少し下の世代なのでしょう。
1969年とあります。これは70年安保世代ですね。
わたしは16歳のころに60年安保でした。ちょっと中途半端なのです。

あ、それから、由良さんの散文「中勘助の詩と謎」が適格にまとめられていて良かった。
わたしも最近ちょっと中勘助に触れた文章を書いたので余計に。