その巻頭頁。

牧野秀子さんの作品を読んでいて珍しい言葉に出会った。
「落蝉」です。
《 生き尽したものの軽さに落蝉が転がりてゆく夕べの風に 》
空蝉はよく聞く言葉だが、落蝉はわたし初めて出会います。
意味は想像できますが、ちょっと調べてみました。
どうも俳句の言葉のようですね。
そしてこんな俳句に目が留まりました。
《鳴き尽したる落蝉の軽さかな》
類句というのでしょうか、ほかにもよく似たのがあるようですが、俳句と短歌ではやはり味わいが少し異なるようで。
限られた語数で表現する短詩形の世界は難しいですね。特に、「落蝉」なんてモチーフで作るとなると、上手な人ほどこうした作品になるのが運命なのかも。
あ、先の《鳴き尽したる…》の作者のお名前ですが、なんと加藤季代さんでした。わたしはちょっと驚き。
田岡弘子さんの
《つれづれなる時間がほしいあたふたと過ぎてあれこれ余すわが日日》
稚拙感を漂わせて共感を誘う作品でしょうか。わたしこんなの好きです。
志方弘子さんの次の作品も同じような流れ。
《勿体ない破れないから捨てられぬ今年の秋もこの服着よう》
いつも門外漢が小賢しいことを言って申し訳ありません。見当外れをお許しください。