
上の紙には1989年11月12日の日付がある。
かなり推敲のあとがある。
これも全く覚えがなく、完成させてどこかに発表した覚えもない。
清書するとこうだ。
時
夕陽のイチョウ並木の下を
妻と娘が歩いている
わたしは少し遅れて歩いている
娘は十四歳に近い
娘の背丈は妻をわずかに超えてしまった
並んだ二人の肩の丸みを
わたしの視線が撫ぜている
二人の肩の向こうから
夕陽を背にして男が歩いてくる
若き日のわたしがだんだんと近づいてくる
二人に出会っても
知らぬ顔して通り過ぎるのだろうか
それとも言葉をかけるだろうか
どんな言葉を
27年前に「時」と題して作ろうとしていた詩。
まだまだ未整理の拙い詩。
今これを作り直すとしたらどんなのになるのだろうか?