『斜陽日記』 | 喫茶店の書斎から

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コーヒーカップの耳

お地蔵さんのお世話をさせて頂いているのだが、先日の地蔵盆の時のこと。
うちの店に世話人が集まることがある。
最近のうちの店はわたしの書斎のようになっていて、たくさんの書籍がアチコチに積んである。
世話人の中の比較的若い主婦が、集まりの後でわたしに声をかけた。
「あの鏡の所にあった本、『太宰治と私』を貸してもらえませんか?」と。
聞けば、若い頃に太宰に夢中になったことがあり、今も好きだと。
『太宰治と私』は石上玄一郎の本で、「KOBECCO」9月号のために参考にした本。
「KOBECCO」の原稿を書くためにはたくさんの本を読む必要がある。図書館で借りることも多いが、書影を欲しいこともあってネットで購入することも多い。図書館の本の表紙にはバーコードラベルが貼ってあって書影を撮るのに向かないのだ。まあ、今回の『太宰治と私』は書影は撮らなかったけど、購入した。
もちろん、彼女に貸して上げた。
ところで、太宰なら、以前やはり「KOBECCO」に書いた幻の詩人北山冬一郎関連の『斜陽日記』(花森安治装丁)という本がある。太宰の恋人だった太田静子が太宰の思い出を書いたもの。
これも「北山冬一郎」を書く時に入手した。これは書影も欲しかったし、近在の図書館にはなかった。で、高価だったがムリして購入した。
多分、この主婦はこれは読んでおられないだろうと思い、貸してあげようと探したがない。
いつか出てくるだろうと思っていた。
ところが昨日、宮沢りえの『サンタフェ』を探していたら出て来た。なんと脈絡のないことだろう。まあ、別々の所にはあったんですけどね。

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地震以降、いつか本を整理しなければ、と思いながら、もうすぐ20年になる。