『脊梁山脈』 | 喫茶店の書斎から

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「お正月休みにでもお読みください」と宮崎翁からお借りしていた本『脊梁山脈』をやっと読み終える。途中で他の本も読んだりで手間取ったが、久しぶりに読んだ長編小説で読み応えがあった。
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時代小説作家、乙川優三郎の初めての現代小説。
しかし終戦直後の時代のことが書かれていて、若い人にとっては現代小説と言われても違和感があるかもしれない。
戦地から復員してきた主人公矢田部伸幸が、戦争の傷を引きずりながら戦後を生きて行くのだが、故郷への列車の中で助けられた小椋康造を探すうち、彼が木地師だとわかる。木地師は轆轤を回して木で盆やお椀、コケシなどを作る大昔からの職人のこと。かつては漂泊の民といわれている。
その縁で、主人公、矢田部伸幸は木地師の源流を求め各地を旅をし、後に一冊の本を著すまでになる。
そこに個性を別にする女性二人が矢田部に深くかかわって小説となっている。
この小説、民俗学を深く勉強しておれば、もっと面白いでしょうね。

さて、次に読む本は、これももっと以前から宮崎翁にお借りしているもので『周五郎伝』。もうすでに半分以上は読んであるのだが、止まっていた。
500ページ以上ある大部の本です。

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ああ、もう一度若くなりたいなあ。人生の残り時間が…。と言っても、宮崎翁はこの一月二日で92歳になっておなりだ。そして、まだ新しいことを勉強しようとなさっている。