『ミラボー橋』 | 喫茶店の書斎から

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コーヒーカップの耳

「喫茶・輪」が久しぶりに再開して、近いうちに見えるだろうなと思っていたT石さんが今日ご来店。
彼女は無類の本好きである。
今日は『ミラボー橋』を携えて。

Img208←この書影は私の所蔵本です。
杉山平一先生の小説集。昭和27年刊。

神戸の海文堂書店が閉店するというので、T石さん行って来たと。
そして、杉山平一先生の最後の詩集『希望』を買ってきたと。
そのあとがきを読んでいて、おや?と思ったのだと。
どこかで見た名前が載っていたんです、と。そして思い当ったのが彼女が以前に古書店から入手していた『ミラボー橋』だったと。
それに杉山先生の署名があり「芳賀義挌様 杉山平一 昭和55年」の記載が。
古本というものは思いがけない旅をするものである。

その『希望』のあとがきの一部。

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はっきりと「芳賀義挌」と名前が。
しかしスゴイ!
何十年も経ってからの本のあとがきに感謝の意を述べるとは!杉山先生らしいといえばらしい。

『ミラボー橋』は昭和27年発行。
先生の署名が昭和55年。
彼女は不思議がる。
しかしわたしが思うには、これだけ先生が恩義に感じておられた人に、発行当初に贈らないわけがない。ということは、贈られた芳賀さんが、後(昭和55年)に先生に会われた際に改めて署名を所望されたのではないかと。