藤本義一さん | 喫茶店の書斎から

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コーヒーカップの耳

作家の藤本義一さんが亡くなられた。
長く西宮在住だった。
西宮に越してこられて書かれた文章の中に「驚いた。西宮のような文教住宅都市が水洗化されていない」というようなのがあった。もう何十年も前だ。
西宮の水洗化は海岸に近い方から順に進められた。氏は甲東園に住まわれた。山手である。
氏の小説、それほど読んでいないが、若い頃読んだものに、直木賞作品『鬼の詩(うた)』があり、あれは良かった。感動した覚えがある。
氏には一度だけお会いしたことがある。直接お話はしなかったが、数年前、庄野至さんが『足立さんの古い皮鞄』で織田作之助賞を受けられた時の祝賀パーティーで主賓を務められて、その席に出た時だった。まだ数年前だ。お元気だったのに。