『環状彷徨』 | 喫茶店の書斎から

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コーヒーカップの耳

 芦屋の宮崎修二朗翁からお呼びの電話があり、出かけました。

 「お話しておきたいことがあります。いつどうなるかわかりませんので…」と。90歳の翁はご自分の残り時間をしきりに気にしておられる。わたしも悔いが残ってはいけないので、どうしてもの用事がない時は出かけます。

 今日は他にも翁からの要請があった。

 「あなた、『環状彷徨』の余分を持っておられませんか?」と。

 『環状彷徨』は兵庫県の究極の文学地誌である。翁、渾身の作と言ってよい。兵庫の文学史をやる人で、この著書のお世話にならなかった人はないであろう。

 わたし、もちろん翁から一冊は頂いている。

 

 翁、どうしても一冊、ある出版社に届けたいのだと。しかし、手持ちがないと。なんということでしょうか、わたし、一冊余分を所持していました。普通、すでに所持している本を、わかっていて新たに買うことはありません。たまに、所持しているのを忘れてまた買ってしまうということはありますが。

 わたし、古書店のリストに載っていたのを何年か前になぜか購入していました。それは新古本でした。全く新しいもの。しかも翁の署名入り。

 お役に立てて良かった。