歌集 『風塵』 阪本勝 | 喫茶店の書斎から

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コーヒーカップの耳

昨日、「街の草」さんのおびただしい本の山の中から、チラッと顔を覗かせていたこの本を買い求めた。

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小さな文庫型の本です。なぜか気になったのです。

今日、読み終えました。

心に沁みました。

あの阪本さんがこのような小さな目立たない本を出しておられたとは。

そして知りませんでした。20歳に満たないご子息をあの戦争で亡くしておられたとは。その亡くなり方が衝撃的。それに対する親の思い。また、それと前後してお生まれになった、ただ一人のご息女、小弓さんへの思い。親の、子へ寄せる思いが切々と詠われている。

巻末に添えられた小文が心を打つ。

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 この本が出たのは昭和26年。

 後に阪本氏は兵庫県の知事を務め、さらに東京都知事選に出て、相手陣営の汚濁にまみれた選挙戦(氏の著書『荒磯に鰯を焼く』彩光社・昭和38年刊に詳しい)で苦杯を喫するなど、波乱の生涯を送る。