詩集『おまじない』 | 喫茶店の書斎から

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コーヒーカップの耳

詩集『おまじない』(佐野けい著・編集工房ノア刊)をお贈り頂きました。

おしゃれなカバー絵です。熊谷亜希子さんという人の絵。

カバーを広げるとこうです。

 

著者の佐野けいさんは、わたし未知の人です。

 

『おまじない』といえば、昔、村中秀雄さんの同じタイトルのいい詩集があったのを思い出しました。

 

この佐野さんの詩集は村中さんのとはまったく趣が違います。

この本にあとがきや跋文はないのですが、奥付に1970年生まれとあります。

「子育て詩集」と呼べばいいのでしょうか。ほぼ子育てを終えてこの本を作られた様子です。

一読、易しい詩集です。

そして優しい。

詩の内容も使われている言葉も。

子育ての苦労をしている人が読むと励みになるかもしれません。

子育ての楽しさを味わえます。

ちょっとした心の動き、それを感動といってもいいのでしょう。

日々の普通の暮らしの中からちょっと光るものを掬い上げての詩。

 

いくつか紹介しましょう。

 

表題詩「おまじない」。

特別のことでないことを詩にされています。

 

これは「おばけ」。まだ子どもさんが幼い頃ですね。

ユーモアがありますね。

 

これは「贈り物」。

子育て経験のある人には珍しいことではないでしょうね。

でも、こうして書き残すということに意義があるのではないでしょうか。

 

「進路説明会」。

大分成長しましたね。高校生でしょうか。

 

そして「髪型で」。

ほぼ子育ての終わりか。

あっという間です。親にとって苦労は多いが、黄金の日々を過ごされたのだ。

 

わたしは懐かしく読ませていただきました。佐野さん、ありがとうございました。

 

思い出して、昔の子どもの記録を出してきて読んだことでした。

 

 

『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。

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