つかれた | くにこ先生のコーヒーブレイク

くにこ先生のコーヒーブレイク

通りすがりのあなたに、心に残るお話をひとつ

 何がきっかけだったのか、どうにも分からない。
 急に、とにかく急に、台所の棚の整理をしなければ、と思い立ったのだ。
 日曜日、午後2時をまわった時のことである。

 「さぁ、やりますよ~。」

 と、独り言を言いながら、始めたはいいが、これが結構な重労働になってしまったのだった。
 棚に入っていた賞味期限切れの調味料やら食材を、ちょこっと整理するだけのつもりが、それだけでは
 済まなくなってしまったのである。

 「ありゃあ、これも期限切れですわ。」
 「お、2012年って、一体どんだけ~。」
 ・・・・・・

 無言で黙々片づけるのも、何だか寂しいので、つい言葉が口をついて出る。
 棚の奥から次々に出てくる調味料や食材は、「美味しそうだなぁ」「食べたいなぁ」と思って買って来たもの
 ばかりなのに、何故か、そのまんま残ってしまったものばかり。
 ついでに、いただきものまで、食べきれずに残っている始末である。

 時折遊びに来る娘たちは、棚を見ては私を注意してたっけ・・・。

 「大体、母さんは、買いすぎなんだよ~。」
 「え~。だって、その時は食べようと思ったもん。」
 「結局、食べないんだったら同じやん。お、いいのがある。」
 「うん。それ、いただきものね。」
 「食べればいいのに。もったいな。」
 「父さんと二人じゃ、食べきれんし。」
 「じゃあ、・・・これ貰ってっていい?」
 「どうぞ、どうぞ。何でも持ってって。貰ってくださ~い。」
 「ありがと~。」
 ・・・・・・

 と、こういう展開。

 こうして、結構な量の食材は、その都度、娘たちが貰って行ってくれてはいたのだが、それでも、
 残ってしまって捨てきれなかったのが、少しずつ溜まっていったという訳である。

 「あ~あ。もったいない。」
 ・・・・・・

 本当に、もったいないことこの上ない話なのである。

 袋いっぱいになってしまった廃棄物は、明日のゴミで捨てなければ・・・。

 すっきりした棚の中を覗きながら、反省も込めて、この状態を維持しようと心に決めたのだった。



 と、これだけで終わればよかったのである。

 つい、その隣の扉が目に入ったのがいけなかった。
 台所の一番奥の普段は使わない『開かずの扉』・・・を、開けてしまったのである。

 我が家の台所は、多分、結構広い方なのだと思う。
 収納がある分、ついつい買い集めた食器がたまってしまっている。

 その「奥の扉」には、以前使っていた食器類が、詰め込まれていた。
 家も出来てから四半世紀が経つ。
 その間に少しずつ捨てきれずにたまっていった食器だ。

  お揃いが欠けてしまってしまったコーヒーカップ。
  子どもたちが使いこんだお茶碗。
  キャラクターのついた小さなコップ。
  安いからと買い求めてはみたものの、どうにも使えないお皿類。
  ちょっと傷はあるけれど、まだ使えそうなどんぶり。
  ピザ屋さんの宅配で持って来られたグラタン皿。
  ・・・。

 多分、これからも「絶対にテーブルには載らないであろう」食器類の数々である。

 収納スペースがあるおかげで捨てられずにいたこの食器類を、今日こそ捨てよう。

 こうして、調味料・食材に続き、食器の片付けが始まったのだった。
 一つ一つの食器に思い出があるものだから、いきおい片付けのスピードは遅くなる。

 「まだ、これ、使えそうだなぁ。・・・いや、使わないかな。・・・多分使わない。・・・。
  うん。きっと、ぜ~ったいに、使わない。・・・はい。捨てますよ~。」
 ・・・・・・

 なんてやっているものだから、遅々とした片付けだ。
 それでも、その扉の中の食器は、全て新聞紙にくるまれ、不燃物のゴミ袋に詰められたのだった。
 
 外からの見た目は、あまり変わらないが、扉の中はすっきりと綺麗になった。
 思いなしか、台所も少し広くなったか。



 この日は、朝からお買い物とお掃除。
 途中、お夕飯を作ったり、洗濯物をしたり、アイロンがけをしたり、と、兎に角休まずに家事労働に
 時間を費やし・・・気が付けば、時計は次の日の午前2時をまわってしまっていたのだった。

 食事や休憩の時間を省いても、何と15時間を超す労働。
 音楽もかけず、ひたすら台所の片隅に座ってごそごその長時間の作業。


 ・・・日曜なのに。
 わーん。





(追記)
 最悪の休み、と言うか、休みではない終末を過ごしてしまいました。
 楽しみにしていたテレビ『天皇の料理番』は、アイロンがけをしながら見ることはできたものの・・・。
 なんだかなぁ。

 この疲れをそのままに、仕事をし、こんなブログを書いている自分が、信じられない・・・。
 今週は、お疲れのくにこさんです。