数日が経ち、いよいよローズとのデートまで明日に迫った土曜日の朝、いつもなら休みなのだがお客様の都合でこの日は会社に出社していた。 部下と時間まで打ち合わせをしていたら電話が鳴った。 「はい、お世話になっております○○ジャパン株式会社です」 「あ、私です ナミです」 とナミからの電話だった。 すごくビックリして受話器を置きそうになったくらいだった。 「もしもし、ナミさんどうしたの?」 「いや~昨日部長が会社に出社する事を聞いたんで、居るかな~と思って・・・ 電話しちゃいました」 「今はまずいよ後で携帯に電話するから」 「分かりました、すみません」 と受話器を置いた。 「え、今の誰だったんですか?」 「あぁ~ 今のうちのカミさんからだったんだ・・・」 「そうなんですか、てっきりうちの社員かと思いました」 それを聞いてドッキとした。 「まさか、うちの会社の社員が休日なんかに電話なんかしてこないよ」 「そうですよね、あはは」 「そうだよ、あはは」 となんとかうまくごまかせたが、いったいナミは何の用事で電話してきたのだろう? とりあえず仕事と思い社員と会社を出た。 お客様との商談も無事終わり、社員と現場で別れ自分はとりあえず会社へ戻ってきた。 雑務も一通り終え、ナミの用件が気になったので携帯に電話を入れてみた。 「もしもし、あ~遅くなってごめん、仕事があったから・・・」 「いえ、こちらこそごめんなさい 仕事があるって分かっていたので会社に来てるかと思い電話したんです」 「え、何でナミさんが今日の仕事の事知っているの?」 「部長の部下から聞いたんです」 とその事を聞いた時少しドッキっとした。 「そうなんだ、で用事はなんだったの?」 「特に用事があったわけではないんです」
「じゃあ、何で電話してきたの?」 「ただ、なんとなく・・・ だからごめんなさい」 「用事が無いなら会社へ電話してきちゃダメだよ、部下も今日は一緒に出社しているのだから」 「本当にごめんなさい、でもさみしくて・・・」 「さみしいのは分かるけど俺の立場も考えてくれないと・・・」 「部長はいつも立場、立場って会社のことばかりじゃないですか」 「確かに君の言うとおり、立場って言ってるけど俺も会社で働いてこの立場に居て給料を貰っているわけだから、働けなくなったら大変でしょ だからわかってほしいんだよ」 「・・・わかりました、もうしません」 「そうか、分かってくれればいいんだ」 「部長、今日はこれから家へ帰るだけですか?」 「うん、そうだよ」 「私に付き合ってもらえませんか?」 まずい・・・ このパターンは家へ帰れなくなるパターンになりそう・・・ 「どうしたの?」 「いえ、どうもしてないですけど・・・ 食事だけ付き合ってもらえませんか、その後すぐに帰ってもいいので」 「本当に食事だけでいいの? 俺、明日用事があるから今日は早く帰りたいんだけど・・・」 「えぇ、約束します食事だけですから」 「じゃあ、わかった。 約束だよ」 「ありがとうございます」 「じゃあ、どうしよう どこかで待ち合わせしようか」 「はい、私なら今からでも行けますから」 「だって、今からじゃ食事までまだ早いでしょ」 「少しでも部長と一緒に居たいんです」 「わかった、渋谷あたりで待ち合わせしようか」 「はい」 「じゃあ、モアイ像って知っているよね」 「えぇ」 「ハチの方は混むからモアイ像の前で4時に待ち合わせしよう」 「わかりました、すぐ行きます」 「あわてなくていいから、ゆっくり来てね」 「わかりました、では」 「うん、じゃあね」 と電話を切った。 とりあえず、カミさんに打ち合わせで少し遅くなりそうだから食事はいらないと電話した。
