僕が病院実習の実習先として行っているところ(地元の県立の総合病院)では、最後週あたりに発表会を行います。
発表内容は自由で、発表時間は10分ほど。
病院実習も半分が過ぎ、折り返しに入ったので、そろそろ本格的に発表原稿やら発表スライドやらをつくり始めなければと考えています。
発表はPowerPointを使ってもいいし、手書きのポスター発表でもいいとのこと。
僕自身としては、当然、PowerPoint派です。
それで肝心の発表内容についてなんですけど、案として二つあります。
一つはHIV関連で、もう一つは白血病や悪性リンパ腫について。
一番はじめに考えたのがHIVで、白血病の方はしばらくしてから浮かんだものです。
そして「一番はじめに考えた案にしよう」とのことで、HIV関連に的を絞ることに昨日決めました。
昨日は大学の文化祭があったので、ちょっとお邪魔して、そこで1期が病院実習(同じ病院)で今薬局の友達と待ち合わせして色々とおしゃべりする中で、HIVにすることにしたというわけです。
HIV関連といっても様々あります。
HIVの標準的な治療方針についてでもいいですし、それと関連して副作用対策でもいいでしょう。
でも10分という発表時間の制約もあるのであまり話題を広くはできない。
そこで最近、生化学の教科書で読んだプロテアーゼ阻害薬についてピックアップして話そうかなと思いました。
医薬品化学講座の学生であることも、すでに何ども薬剤師の先生方にお話していますし、そういう学生らしいかなとも思えたので。
それに発表内容が自由なので、直接医療に関わる内容ではないのですがOKかなと思いましてね。
それで具体的な内容としては、①HIVプロテアーゼ(非常に対称的な形のタンパク質の二量体です)がアスパラギン酸残基を駆使してどのようにアミド結合(ペプチド結合)を切断するのか②その仕組みについての詳細な研究がプロテアーゼ阻害薬の構造にどう生かされたの2本柱です。
個人的には、①HIVプロテアーゼの対称性の美しさ、②アスパラギン酸を介した電子の移動の直線性の美しさ、③遷移状態アナログという重要な創薬方法が深く関連すること、の3つがこの題材を選んだ決め手ですね。
美しさなんて書きましたが、たぶん有機化学オタクなら分かってくれる筈(笑)
それに、現にHIVの治療においてプロテアーゼ阻害薬は重要な位置を占めていますし、治療の歴史からもその重要性と治療への貢献の大きさがよく分かります。
HIV感染症やAIDSは、患者数からするとそれほど重要な疾患ではないかもしれませんが(癌や心血管系疾患、糖尿病や脂質異常症などと比べると)、世界レベルで大きな問題になっていることは事実ですし、HIVというウイルス自体興味深い研究対象であることは間違いありません。
また、創薬や生化学的な観点からも非常に魅力的です。
学生らしい、自由な発表にしようと思います。