病院であれ、薬局であれ、在宅であれ、患者さんやその家族と接することから医療は始まる。
そこで最重要なのが、ヘルスアセスメントだ。
ヘルスアセスメントは健康に関わるすべてのアセスメントで、身体的、精神的、社会的因子のすべてを含んだトータルアセスメントといえる。
患者さんの病気だけを見て、臨床検査値や処方せんとにらめっこするだけでは不十分で、まずは広く患者さんの置かれた環境を見渡す必要がある。
地域ごとの文化や風習のわずかな違いも重要だが、ここまで行うのはちょっとハードルが高いかもしれない。
まず、患者さんに挨拶する。
そのとき、患者さんも挨拶を返してくれたら、それだけで聴力と声の状態(咽頭、喉頭、気管支、肺、鼻などの状態)、意識レベルや認知レベルなどを大雑把に把握する参考にできる。
そのとき手を差し伸べて握手を求めてみる。
握手に応じてくれたのなら、そのとき体温や握力、応じるまでの速さ、手を差し伸べるまでの動きなどから、重要なことを多くチェックできる。
冷え性ではないか、手に力はあるか、錐体外路系の障害(副作用)はないかなどなど。
患者さんの歩き方、姿勢、話し方、目の状態、匂いなどもこのときチェックできる。
実はこれだけなら、薬局でも普通に行えるのだ。
それから、問診も重要だ。
五感を使ったアセスメントと、問診だけでかなり多くの情報を把握できのだ。
これにより、薬物療法の有効性や副作用チェックがかなりできる。
バイタルサインのチェックや触診、打診、聴診は必要に応じて行えば良いわけで、上に書いたことを無視してこれらを行うことは他のコメディカルからひんしゅくを買い、薬剤師の医療人として基礎知識を疑われるので注意が必要。
問診では食事・排泄・睡眠は必須。
QOLと直結するから。
そして、運動機能と認知機能も問診でチェックすべき項目。
実はこの5項目は、副作用モニタリングの基本中の基本。
この5項目なくして、モニタリングはないともいえる。
その上で、化学や生命科学の土台に立つ、専門知識を発揮するということだ。
そして、できないことは素直に認め、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養師、介護士、臨床心理師、民生委員、医療福祉士などなど多くの医療スタッフの力を借りることが大事。
なおかつ、自分からGIVEしていくことが大事。
TAKEを待っているようじゃ、チーム医療はできない。
もはや、チームを組まないと対処できないほど、医療の問題は難問化しているのだから。