レイオフ (layoffs) | Coding for Life

Coding for Life

金融系システムコンサルタントの日々の思いつき

(Just a little something to write about from Japan)

もう、7年程前になるだろうか。某欧州系証券会社の日本支店CIOであったころ、リストラの一波がやってきた。スタッフの半分近くになる60名程をレイオフすることとなった。

全社員数から考えて、日本支店のITスタッフが占める比率は悪いものではなかったが、本店の解雇人数に合わせて「痛みを分かち合う」ことから、レイオフの人数が決められ、本店から通達される。少ない人数で効率を求めて働いていたスタッフにとっては、もちろん納得が行かない。「なぜ、効率の悪い本店が無駄な人を多く切らないのか」と。

その上、スタッフの半分を解雇するということは、どの良い人材を残すとかいうレベルではない。部が機能し続けて行く為には、優秀な人材であってもチームから外す必要が出てくるし、他のスタッフから評判が良くないスタッフであっても残す必要が出てくる。解雇される側にも、残るよう命令される側にとっても、納得の行かない解雇リストができることとなる。

私にとっても納得がいかなかった。そもそも、この状態を作った前任者および上層部のマネージメントらは、自分をレイオフの対象と考えていない。それまでは不明朗なマネージメントの評価基準が、速やかな人員整理を進めるという分かり易い評価基準になり、上司ら自身のポジションを守る為にも、与えられた解雇人数に固執した。そこには、ロジックも人間性も何もなかった。

そんな納得しない気持ちのまま、スタッフに解雇を説得するわけである。怒りをぶつけてくる人もいれば、泣き出す人もいた。子供が産まれたばかりの家庭もある。日本に引っ越して来て、まだ1年も経っておらず、不安でしょうがない人もいる。それらをすべて受け止めながら、上には人数の交渉を最後までし続ける。その間、直属の上司は、さっさとヘッドハンティングされて辞めてしまった。なんとも無責任な話である。

驚く事に、不満を持つのは解雇されるものだけではなかった。解雇されてホッとするものもいたし、残るよう言われて、パッケージをもらってさっさと母国に帰りたかった、というものもいた。

レイオフが一度始まると、すぐに全社に知れ渡る。よって、マネージメントは数ヶ月前から準備をし、同じ日に通告を始める。しかし、人数が人数である(IT部が一部署で一番人数が多かった)。一人15分で60人と話すには、単純計算で15時間かかる。2日間、朝から晩まで解雇通告することとなる。納得の行かないスタッフは、その後フォローも必要である。身も心も疲弊する期間であった。

メディアでは、解雇された側の立場から見て報道することが多いと思うが、するよう命令される側も辛い思いをしていることも報道して欲しいと思う。辛さ×人数となるのである。残される者も辛い思いをすることを理解して頂きたい。

さて、後日談であるが、当時レイオフしたスタッフの中で今も交流が続いている人達の内の一人が、最近のマーケットの大量レイオフが始まった頃、飲みに誘ってくれた。その時言ってくれた事が、「他のレイオフもあれから見て来て、あなたの時だけが、唯一みんなを人間として扱ってくれていたことがわかった」だった。少しは気持ちが救われたかもしれない。

現在、同じ立場にいるマネージャーの方々も、人間としての尊厳を失わずに、頑張って欲しい。

なお、上記の60人を解雇した後、私も辞めることとなった事を付け加えておく。