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ないとめあです。
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 円安が一向に収まらない中で、「日銀が名目金利をちょっと上げたところで意味がない、実質金利を大胆に引き上げない限り円安は反転しない」という主張をよく耳にします。理論的には非常に筋が通った主張です。本日は、この見解の妥当性を検証しつつ、なぜ日本にとってこれが「言うは易く行うは難し」なのかを整理してみたいと思います。

実質金利の定義
実質金利は次の式で表されます。
・実質金利 = 名目金利 - 期待インフレ率
購買力平価説や金利平価説に基づけば、実質金利が高い通貨は資金を呼び込みやすく、通貨高につながりやすいというのは経済学の基本的な整合性のある見方です。

 この式から分かる通り、実質金利を「大胆に」引き上げるには、①名目金利を大幅に上げる、②インフレ率そのものを急速に下げる、のいずれか(あるいは両方)が必要になります。しかし、日本の現状を踏まえると、どちらの道も簡単には進めません。

①名目金利を大幅に上げた場合のリスク

財政・家計への打撃
 日本の公的債務残高はGDPの250%を超えています。名目金利を大幅に引き上げれば国債の利払い費が急増し、国家財政を直撃します。同時に、変動金利型住宅ローンを抱える家計や、借入依存度の高い中小企業の利払い負担も急増し、消費の冷え込みや企業の資金繰り悪化を招きかねません。為替を守るために国内経済をリセッションに突き落とすリスクが非常に高いのです。

 つまり、日銀が「大胆に」金利を上げるという選択肢は、理論的には正しくても、実行に踏み込めば国内経済へのダメージが大きすぎる、というジレンマを抱えています。

②インフレ率を下げて実質金利を上げる場合の限界

【分析】コストプッシュ型インフレという悪循環
 現在の日本のインフレは、需要過熱によるディマンドプル型ではなく、輸入資源高や円安そのものに起因するコストプッシュ型である可能性が高いと考えています。これは国内の金融政策だけでは制御しきれず、海外の資源価格やサプライチェーンの動向に左右されます。円安を止めるためにインフレを下げたいのに、そのインフレの主因が円安自体であるという、構造的な悪循環に陥っているとみています。

金利操作だけでは円安は反転しないという視点

【分析】潜在成長率という本質的な要因
 円安の本質的な原因は、日米の金利差だけではなく、日本の潜在成長率の低下、すなわち「国力の低下」にあるという見方が強まっていると考えています。金利という「マネーの価格」をいじるだけでは一時的な為替操作にしかならず、中長期的な円の信認回復にはつながりにくいのではないでしょうか。真の意味での円安反転には、労働生産性の向上とイノベーションによる成長産業の創出、エネルギー・食料自給率の改善による貿易収支構造の転換、そして賃金と物価が健全に循環する経済体質への変革といった、構造改革が不可欠だと考えています。

まとめ

 実質金利の大幅な引き上げは、教科書的には強力な円高圧力を生む、整合性のある主張です。しかし現在の日本の債務状況や家計の脆弱性を踏まえると、「薬が強すぎて患者(日本経済)が持たない」というリスクを孕んでいます。円安の反転を金融政策だけに求めるのではなく、実体経済の稼ぐ力を取り戻す構造改革とあわせて議論する必要があると考えています。

 
では、また!