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円安が招いた「富の海外流出」――リフレ政策がもたらした逆オイルショック構造

リフレ派の経済政策が唯一、強烈かつ確実に引き起こした現象、それが「円安」です。

しかしその円安によって実現したのは、かつて喧伝されたような「国内経済の復活」ではありませんでした。現実に起きたのは、海外からの原材料・エネルギー価格の激しい高騰――PPIにして6%を超えるコストプッシュ圧力――です。
(参照:日本銀行「企業物価指数(2020年基準)」

国内でお金が循環するどころか、エネルギーや食料の輸入代金として、日本の富(円)が淡々と海外へ流出し続ける構造を、日本は自ら招き寄せてしまいました。まさに「逆オイルショック」とも呼ぶべき事態です。

 

■ データが示すリフレ政策の結末

 

日銀の営業毎報や資金循環統計を見ても、その歪みは数字にはっきりと刻まれています。

この対照的な数字が語るのは、次のような構造です。

「日銀が国債を引き受け、政府がばらまき、国民は不安からお金を手元に隠し、市場には一向に回らない」

これこそが、リフレ政策のもたらした不都合な真実です。

 

■ 「利上げ拒否」が生んだ実質賃金の崩壊

 

現実のデータ――すなわちインフレの進行と実質賃金の低下――を目の前にしながら、当局は利上げを拒み続けました。

その結果として起きたのが、実質賃金4年連続マイナスという深刻な購買力の喪失です。2025年の実質賃金は前年比マイナス1.3%となり、名目賃金は2.3%増加したものの、消費者物価が3.7%上昇したことで増加分は完全に帳消しとなっています。
(参照:nippon.com「実質賃金:4年連続マイナス、賃上げの実感消える」

また、2022年以降の「輸入インフレ・ショック」によって、2021年平均と2023年平均の比較で実質賃金は4.2%も低下しており、その水準まで回復するには「まだ何年も要する」と専門家は指摘しています。
(参照:野村総研・木内登英「実質賃金のプラス転換は年末頃」

 

■ 「インフレには利上げ」という世界標準の原則を無視

 

世界標準の経済学が示す大原則は、シンプルです。

「インフレには利上げで対処する」

この至極当然の処方箋を無視し、壮大な実験の失敗を認められないまま、ずるずると後手に回り続けているのが現在の当局の姿です。

 

■ 個人としての合理的な防衛策

 

こうした歪んだ政策と決別し、自身の資産を外貨に変えて守るという選択は、決して投機的な行動ではありません。むしろ、現実のデータに基づいた極めて真っ当な資産防衛策と言えます。

政策の失敗を待ち続けるのではなく、個人レベルで構造的なリスクをヘッジする――それが今、日本の家計に求められている視点ではないでしょうか。

※本記事は筆者の個人的な見解に基づく分析であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。

 

 
では、また!