こんにちは、ないとめあです。

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「戦争になれば金(ゴールド)が上がる」という話はよく聞きます。ところが、2026年2月28日の米・イスラエルによるイラン攻撃後、金も株も同時に下落するという、一見不思議な動きが起きました。

 日本経済新聞の報道によれば、ニューヨーク金先物(中心限月)は3月11日に1トロイオンス5,170ドルほどと、イラン攻撃前より1%超下落しています。「有事の金」の法則はどこへ行ったのでしょうか?

■「戦争=金上昇」は単純化しすぎ

 まず前提の誤解を解きましょう。金が上がる条件は「戦争」そのものではなく、より正確には次のような状況です。

  • 不確実性の高まり(戦争勃発、緊張エスカレート時)
  • ドル安・インフレ懸念の強まり
  • 株式市場の急落や信用不安

 つまり金は「リスクオフの受け皿」として買われるのであり、戦争というイベント自体に反応するわけではありません。重要なのは「不確実性がいつ最大になるか」という時間軸です。

■攻撃直前はむしろ金が上昇していた

 実際、攻撃前の緊張局面では金はすでに大きく動いていました。Bloombergの報道では、攻撃当日(3月1日)の市場開始直後に金相場は約2%上昇し、1オンス5,300ドルを超える水準で推移していました。また、2026年に入ってから攻撃前の時点で金は既に20%以上値上がりしていたというデータもあります。

つまり「有事の金」の恩恵は、攻撃前の緊張局面ですでに享受済みだった、ということです。

■攻撃後に下がった3つの理由(分析)

以下は市場データと状況から導いた分析です。

 

① "Buy the rumor, sell the fact"(噂で買い、事実で売り)

 マネックス証券のレポートでも、「Sell on the rumor, buy on the fact(噂で売って、事実で買う)という展開」という表現で同様の動きが指摘されています。攻撃が実施されて「最悪シナリオが回避された」「限定的な打撃で終わった」と市場が解釈すれば、事前に積み上げたロングポジションを利益確定する動きが集中するのは合理的です。

 

② 損失補填のための換金売り

 日経新聞によれば、金融市場の変動性が急激に高まり、損失を補填するために金を売ったことが一因と報じられています。株や原油など他の資産で損が出た投資家が、値上がりしていた金を現金化したという動きです。これは推測ではなく、市場参加者の行動として実際に観測された動きです。

 

③ ドル高が金の重荷に

 有事には「質への逃避先がドル(キャッシュ)」になるケースがあります。ドルが買われれば、ドル建てで取引される金は相対的に割高になり売られやすくなります。日経報道でも「ドル高や金利上昇という逆風」が金の軟調の要因として挙げられています。

■歴史が示すパターン

 大和アセットマネジメントのレポートでは、第四次中東戦争、イラン・イスラム革命、イラクのクウェート侵攻のいずれも、動乱をきっかけに原油価格が急騰し米国株式市場が下落傾向に陥ったという過去の事例が整理されています。

金の動きを局面別に整理すると、おおよそ以下のパターンが繰り返されています。

局面 金の動き
緊張エスカレート前(噂段階) ↑ 上昇しやすい
攻撃実施・事態が明確化した直後 ↓ 下落しやすい
長期化・泥沼化した場合 ↑ 再上昇しやすい

 今回の「攻撃直後に下落」は、このパターンの「②段階」にあたり、むしろ歴史の繰り返しとも言えます。

■今後の注目点

 現時点での筆者の見立てでは、今後の金価格は事態の長期化・エスカレーションがカギを握ります。

 SBI証券のレポートによれば、イランがドローン攻撃でサウジアラビアのラスタヌラ製油所やカタールのLNG関連施設を攻撃し操業停止したとの報道もあります。報復の連鎖が続くならば、エネルギー供給不安→インフレ懸念→金再上昇というシナリオは十分あり得ます。

 一方で、大和アセットマネジメントの分析では、トランプ大統領が「4〜5週間で作戦終了」と述べており、長期戦を避けたい意向が見えるとも指摘されています。短期終結となれば、金の再上昇は限定的にとどまる可能性もあります。

 

結果:「有事の金」は正しいが、タイミングが命。金が輝くのは「戦争中」ではなく「戦争前夜」。攻撃が実施された瞬間から、市場は次のシナリオを先読みして動きます。今後はイランの出方と事態の長期化・短期収束のどちらに向かうかを注視する必要があります。


【主要参照元】
日本経済新聞「有事で輝けない金、イラン攻撃後1%安」(2026/3/12)
Bloomberg「米国のイラン攻撃と商品・金融市場の動向」ライブブログ(2026/3/1)
マネックス証券「イラン攻撃で揺れる株式・為替市場の行方」(2026/3/2)
大和アセットマネジメント「米国のイラン攻撃が米株相場に与える影響」(2026/3/3)
SBI証券「今後のイランをめぐるシナリオと日経平均の見通し」(2026/3/3)

 

では、また!