こんにちは、ないとめあです。
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2026年3月、アメリカ国内でまた新たな法廷闘争が始まりました。ニューヨーク州やカリフォルニア州など24州が、トランプ大統領の全世界一律関税をめぐって提訴したのです。今回は提訴しても止められない可能性が高いのです。トランプ大統領は法律の抜け穴を次々と渡り歩いており、今回は最終段階となります。
■ そもそも何が起きているのか
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年〜 | トランプ大統領、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づいて全世界に関税を発動 |
| 2026年2月20日 | 最高裁が6対3でIEEPA関税を違憲・違法と判断 |
| 2026年2月20日(同日) | トランプ大統領、即座に通商法122条に基づく10%の全世界一律関税を発動 |
| 2026年2月21日 | さらに15%(122条の上限)への引き上げを宣言 |
| 2026年3月5日 | 24州が通商法122条の適用を違法として提訴 |
最高裁に「違法」と言われたその当日に次の法的根拠を用意していました。まるで「負けても次の手はある」とあらかじめ準備していたかのような速さです。
■ 通商法122条とは何か
122条は1974年通商法に含まれる条項で、「アメリカの国際収支に深刻な赤字がある場合、大統領は最大15%・最長150日間の関税を課せる」というものです。
ポイントは2つあります。
① この法律は一度も使われたことがない
議会調査局(CRS)の報告書によれば、「122条はこれまで一度も発動されたことがなく、裁判所もその文言を解釈する機会を持ったことがない」とされています。つまり前例がないのです。
② トランプ政権自身が「使えない」と言っていた
これが最大の皮肉ですが、トランプ政権の司法省はかつて「122条には貿易赤字への対処に明らかな適用根拠がない」と裁判所への提出書類の中で主張していました。つまり自分たちで「使えない」と言っておきながら、IEEPAが違法とされると翌日から使い始めたのです。
州側の主な反論は以下の通りです。
- 122条が対象とする「国際収支赤字(balance-of-payments deficit)」と「貿易赤字(trade deficit)」は別概念であり、適用できない
- 122条は1960〜70年代の金本位制崩壊の危機に対応するために作られた法律であり、現在の状況には時代的に適合しない
- カナダ・メキシコ等への免除や84ページにわたる例外品目があり、「一律」の要件を満たさない
■ 「150日の期限」という設計と、政権の本当の狙い
122条には重要な制約があります。150日間(2026年7月24日まで)という期限です。延長には議会の承認が必要ですが、上院では民主党がフィリバスターで阻止でき、延長は困難と見られています。
では、トランプ政権はこの「期限付き関税」をなぜ使ったのでしょうか。法律専門家の間では、122条は「時間稼ぎ」のための橋渡しに過ぎないという見方が有力です。政権が本当に狙っているのは、この150日の間に次の法的根拠――通商法232条・301条――に基づく関税体制を構築することだと考えられています(推論)。
| 法律 | 根拠 | 期限 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| IEEPA | 国家緊急事態 | なし | 最高裁で違憲判断→終了 |
| 通商法122条 | 国際収支赤字 | 150日 | 現在使用中・提訴対象 |
| 通商法232条 | 国家安全保障 | なし | 次の手として準備中 |
| 通商法301条 | 不公正貿易慣行 | なし | USTR調査開始済み |
232条・301条には期限がなく、議会承認も不要です。232条に基づく鉄鋼・アルミへの関税はトランプ第1期から続いており、裁判でも合法とされています。301条に基づく対中関税はバイデン政権でも維持されました。つまり法的な耐性が高いのです。
■ なぜこんな「いたちごっこ」が可能なのか
根本的な問題は、アメリカの通商法制の構造にあります。冷戦時代、「外交・通商判断は迅速さが必要」という発想から、議会は大統領に広範な権限を委任してきました。議会が自ら自分の権限を手放してきた歴史があるのです。
今回のトランプ政権が特異なのは、これらの法律を「特定の国・特定の品目」という従来の使い方ではなく、「全世界・全品目」という前例のない規模で使おうとしている点です。
そして「やりたい放題」を可能にする三重の構造がこれです。
- 法律の抜け穴を次々と使える
- 議会は党派対立で動けない
- 裁判所の判断には時間がかかる
24州の訴訟が仮に勝訴しても、150日という期限が「逃げ切り装置」になっている可能性が高く(推論)、その間に232条・301条への移行が完了してしまうかもしれません。
■ 結論
アメリカ国民への影響は、ニューヨーク連邦準備銀行の試算によれば1世帯あたり年間1,200ドルの負担増とも言われています。
IEEPAが違法 → 122条へ。122条が違法になれば → 232条・301条へ。法の網の目をくぐり続ける限り、関税は形を変えて存続し続けるかもしれません。長期的には、議会が委任した権限を取り戻す立法が必要という声もありますが、それ自体が政治的に極めて難しいのです。
「法律の範囲内でやっている」と言えばそうかもしれないですが、その法律の使い方が設計者の想定を大きく超えているとしたら、それは果たして「法の支配」と呼べるのでしょうか。
【参考ソース】
・CBS News: 24 states sue Trump administration over tariffs imposed after Supreme Court ruling
・PBS NewsHour: Multiple states sue over Trump's new global tariffs
・Reuters / Yahoo News: Twenty-four US states announce lawsuit to stop Trump's latest global tariffs
・WilmerHale法律事務所: Supreme Court Strikes Down IEEPA Tariffs—What Now?
・Perkins Coie法律事務所: Supreme Court Holds IEEPA Tariffs Unlawful
・Spectrum News: Several states sue over Trump's new global tariffs
※本記事における将来の法的・政治的展開の予測は推論を含みます。
では、また!




