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インフレ税: インフレにより現金・預貯金など名目資産の購買力が減ることで実質的に家計の資産が削られる現象。
金融抑圧: 低金利政策や規制で民間の貯蓄を低利で政府に流し、結果的に政府債務の実質負担を軽くする政策群。学術的には債務削減の手段と見なされています。
2)なぜ日銀は「金利を上げない」のか
日銀は長期にわたる国債買入れで大量の国債を保有しています。急激な利上げは保有国債の価格下落(含み損)や、当座預金へ支払う付利の増大を招き、日銀自身と国家財政双方に負の影響を与えかねません。こうした構造的制約が、利上げの制限要因となっています。
3)なぜインフレは“国家の借金が目減りする”のか
名目GDPが上昇すれば債務比率(債務/GDP)は低下します。さらにインフレが進むと、既発行の名目固定金利国債の実質価値が目減りします。中央銀行が金利を抑制したままインフレを許容すると、この効果はより顕著になります。
4)なぜ就職氷河期世代が特に危険に晒されるのか
就職氷河期世代(おおむね40代後半〜50代前半)は、新卒期の厳しい雇用環境の影響で非正規・低所得が長期化し、金融資産が少ない傾向が指摘されています。
資産の多くを現金や預貯金で保有している層は、インフレの進行で購買力が速やかに低下しやすいため、相対的に被害が大きくなります。
インフレを容認する政策は高齢の貯蓄中心層に負担を転嫁する一方、利上げを選べば政府や借入主体(企業・一部家計)の利払い負担が増します。したがってどの政策を選ぶかは「世代間・階層間の負担配分」を決める重要な政治判断です。
就職氷河期世代を含む50代・60代の貯蓄層にとっては、政府の借金のために自身の貯蓄が目減りする「金利を上げないインフレ」よりも、利上げを伴い、預金金利の上昇によって貯蓄の実質価値が守られるインフレ政策こそが、資産防衛の観点から強く求められるべき選択肢だと言えるでしょう。
6)実務的示唆(短期〜中期)
- 政策の透明性を高め、賃上げやインフレの見通しを明確に示すこと。
- 預貯金中心層への保護策(預金金利の引上げ促進、インフレ連動商品、公的支援など)を検討すること。
- 積極財政の効果が確実に賃金に波及するための仕組み(中小企業支援と賃上げ要件の連動等)を法制・運用面で強化すること。
- IMF — "Financial repression redux"(金融抑圧の概説): https://www.elibrary.imf.org/downloadpdf/journals/022/0048/002/article-A008-en.pdf
- Bank of Japan — 統計(銀行の保有国債など): https://www.boj.or.jp/en/statistics/boj/other/mei/index.htm
- NBER(金融抑圧と日本の関係に関する研究): https://www.nber.org/system/files/working_papers/w31850/revisions/w31850.rev0.pdf
- 日本経済研究センター(就職氷河期世代の分析): https://www.jri.co.jp/file/report/researchfocus/pdf/16113.pdf
- 財務省 — JGB保有状況等(参考資料): https://www.mof.go.jp/english/policy/jgbs/publication/newsletter/jgb2025_04e.pdf
では、また。





