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ないとめあです。
2025年8月29日、米連邦巡回控訴裁判所は「トランプ前政権が課した大半の追加関税は違法」との判断を下しました。トランプ氏の「アメリカ第一」政策の象徴だった関税戦略に大きなメスが入ったことになります。判決は即時発効ではなく、10月14日以降に効力を持つ予定。その先には最高裁での争いも控えており、最終決着までは数か月を要する見込みです。
では、もし違法が確定した場合、各国から米国に輸出される製品の税率はどう変わるのか。そして、既に支払った関税は返ってくるのか。
何が違法とされたのか
今回違法とされたのは、**IEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠に導入された「一律・相互的関税」です。簡単に言えば、「アメリカが不利だと感じればどの国からの輸入にも追加関税を課す」という仕組み。これが裁判所に「法律の趣旨を逸脱している」と退けられました。
一方で、鉄鋼・アルミへの232条関税や、対中301条関税などは別根拠のため、引き続き存続する可能性があります。
違法判決後の税率はこう変わる
中国
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工業品一般:現行の10〜25%上乗せが消え、**平均3%前後(MFN税率)**へ回帰。
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アパレル:現在は追加関税で実効税率が70%近くにもなっているとの指摘あり。違法確定後は10〜20%程度(従来の高率MFN)に戻る。ただし対中301関税は別枠で残る。
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乗用車:追加関税が外れれば2.5%(米国MFN税率)。ただし自動車への特別関税措置や301条は存続の可能性。
日本・EU
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工業品一般:追加関税が消えれば**0〜5%程度(平均2〜3%)**へ。
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乗用車:米国の標準は**2.5%**だが、別途25%の「自動車特別関税命令」がかかっているため、完全撤廃にはならない見通し。
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鉄鋼・アルミ:232条関税が続くため、大幅な引き下げは見込めず。
返還はされるのか?
これが一番気になるところでしょう。
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理論上は返還請求可能:輸入者は「払い過ぎた関税の返還」を米国税関に請求できます。
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ただし条件つき:判決が最高裁まで確定する必要があり、さらに議会や政府が「返還制限」を立法でかける可能性もゼロではありません。
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規模感:もし全面返還となれば数十億ドル規模。米企業にとっては大きな救済ですが、米財務省にとっては痛手です。


