本丸御殿に向かう道すがらに川越城中ノ門堀跡があります。
中ノ門堀は戦いの際、敵が西大手門から城内に攻め込んできた場合を想定して造られているそうです。西大手門から本丸を目指して侵入した敵兵は、中ノ門堀を含む3つの堀に阻まれて直進出来ない為、進撃の歩みを緩めざるを得ませんが、そこに城兵が容赦なく弓矢や鉄砲を撃ちかけてくる、敵兵からはこの堀が切り立った壁のように見え、行く手を阻む大きな障害となったことでしょう。
▲川越城本丸御殿
東廊下は、大沢たかおさん、綾瀬はるかさん主演のTBSドラマ『JIN 』の撮影でも使われたのだとか。
家老詰所に入ると何やら会議中です。この三人が囲んでいる図面は幕末の江戸湾警固の折、川越藩が出動した二番台の見取り図なんだとか。二番台は今のレインボーブリッジ、
台場側のたもとにあたります。
この広間も『JIN』の撮影に使用されたそうですが、この本丸御殿は文化財建築物の為、一切手を加えることが出来ないという中で、撮影に使われたセットはすべて自立式、寸分も狂わぬ精度で造られ、建物にぴったりとはまる寸法だったと言います。
川越城は、扇谷上杉家が足利古河公方に対抗する為、大田道真・道灌父子が築城したものでしたが、天文6年(1537)には北条家に奪取されてしまいました。後に上杉家は川越城奪回を図るも、氏康の奇襲で返り討ちに遭い、大敗。これが日本三大奇襲として、織田信長の『桶狭間の戦い』、毛利元就の『厳島の戦い』と並び称された北条氏康の『川越夜戦』です。この川越での戦いを経て、北条氏は関東征服の夢を益々大きく膨らませていったのでした。