

「縁」
疎遠も
縁のうち。
去る者は日日に疎し(さるものはひびにうとし):
死んだ者は日が経つにつれ世間から忘れられていき、親しかった者も遠ざかれば日に日に交情が薄れていくということ。死んだ者が月日とともに忘れられていくことや、親しかった者が遠く離れることにより縁が薄くなっていくことは、やむを得ないことだという人生の無常をいう。ここでの「疎し」は、人との関係が疎遠になっていくことをいう。
注:
日頃から交流していないと、急に連絡をもらっても、構えてしまうものである。「それではいけない」と心掛けても、月日とともに儀礼的になりがちだ。身内の年忌法要が近づき、ソワソワと準備していたところ、とんと連絡を取っていない伯父から便りが届いていた。あまりの意外性に驚いていたところ、続いて宅配便がやってきた。その伯父がカステラを送ってくれたようである。日頃から親しく交流している人たちは、遺族にフォーカスされるゆえ、故人の痕跡が薄れて行くようだが、日頃が疎遠な関係だと、かえって故人の存在感が保たれるようである。自分自身のことを慮ってもらえるのは、もちろん嬉しいことだけど、故人を思ってもらえるのは更に嬉しいことである。有難すぎて、自分が食べるわけにも、人にあげるわけにも行かないなあ、…という、今後のカステラの行方。