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TITLE:
私の方が馬鹿なのか。
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〜 Dream walker. 〜
Written by BlueCat
Written by BlueCat
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知り合いに「俺は25歳以上の女とは付き合わない」と言っていた男がいる。
当時、彼は50歳になろうとしていた。
普通なら鼻でせせら嗤うところであるが、その男の普段の立ち居振る舞いからも、その真意は軽蔑に当たるものではないと分かった。
身なりはそれなりにきちんとしているタイプの男で、風合いの良い高価そうなセーターと、同じく生地の肌目や仕立てのしっかりしたジーパンなどを穿いており、肌も髪もそれなりに整えている。過度に小綺麗でなく、だからといってみすぼらしくもなく。
昼下がりのカフェバーに自転車でやって来て、コーヒーやらウィスキィを嗜む程度には粋人である。
数年前に伴侶と離婚し、1人で暮らしているという。
詳しい話はしなかったし、聞く気もなかったが、何らかの事業を経営していたのだろう。それでいて今は有閑というわけだ。
デキのいい男のほとんどは忙しく、あるいはせめても周囲から出来良く思われようと忙しいフリをする無能も多い中で、平日の昼間に(他者に日常の些事を任せきりにする風でもなく)ぼんやりのんびりしている男であるから、これはなかなかたいしたデキなのだと思った次第。
その男が「25歳以下の女としか付き合わない」と言っているのだから、これは相応に含蓄のある話なのだと思い至ったのだ。
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無能な男たちには、セックスのための若い女を至上とする傾向がある。
しかし個人的な経験からいえば若い女におけるセックスの魅力は乏しい。
それはセックスが単なる性欲の処理ではなくコミュニケーションの側面を持っている以上、人間を ── あるいは男を ── よく知りもしないガキと身体を重ねたところで、仮に射精はするとしても、精神的な充足など求めようもないからだ。
ためにそういう(若い女こそ至上という)男たちが射精して満足そうな顔をしていられるのは僅かな時間で、すぐ不満そうな顔で射精する機会を求めることになる。無論、性欲だけでセックスしたくなるのは男だけではないから、構う必要はないのだろうが。
そういう人やありようについて非難や否定をしているのではなく、そういう者もいるな、という話である。
しかし結婚して、子供も居て、そののち離婚して、金銭的にも(それを生み出す)能力的にも遜色ない男が「25歳以上の女なんて」というのだから、これはなかなか奥深いな、と思ったのだ。
仔細を聞くほど下世話でもないので、そのときはすぐ別の話題に移ったのだが、彼の言わんとしたことは25歳前後から女たちが身に付ける打算について、なのだろうと分かった。
これが離婚歴もなく、子供もおらず、サラリーマンとして安穏と暮らしている ── すべてのサラリーマンがそうだなどと思わない一方、国会議員だろうと自営業者だろうと、サラリーマン然としている人間はいくらでもいて、そういう漫然と作業しているだけの ── 無能な男なら話を聞く価値もないのだが、それらも経験した上、遊ぶ気になれば(お金を使おうと使わなかろうと)いくらでも女遊びができる男が言うのだから意味合いは違うと思ったのだ。
前述の通りその仔細については聞かなかった。
興味がないといえば嘘にはなるが、誰かの恋愛観などその人自身とその恋人以外に、役立つはずもない。
四十を過ぎてなお可憐な女もいるし、3人くらいの子供が成人してなお魅力的な女も知っているが、しかし確率からいえば非常に少ないのだろうとは想像する。
逆を言えば男も然りだろう。
齢を重ねて退屈になった男など、私も散々に見てきたので分かる。
九割九分退屈でないと言い切れるのはやはり20代前半までで、社会を知り、社会に合わせるうちに皆、退屈なイキモノに変わってゆく。
つまり彼の言わんとしたのは、サラリーマンじみた流れ作業と数字勘定しかしない(それでいて自身を大した者だと勘違いしている)ような退屈な女などを相手に心を通わせるのは不可能だしまっぴらごめんだという、それなら私もいつも考えていることと同じだったからだ。
彼と私の違いは、彼が明確にその分水嶺として「25歳」と区切る知見や勇気を持っているのに対し、私にはそれがないことだ。
分水嶺ではなく、勇気のほうである。何となれば経験もない。
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数年前、彼はそのカフェバーに出入りしている女子大生と晴れて付き合うことになった。
大方の男たち、あるいは女たちの反応は、メディアで年齢差のあるカップルに対するのとおよそ同じようなふうだった。
男たちは賞賛し、あるいはシンプルに羨ましがり、女たちは少し冷ややかだったり、あるいは素敵な話だと目を輝かせた。
じつのところ、その女子大生には少々悪い意味で「ませた」部分があり、経験もないのにやたらと男女の色事の話をするなどという子供じみた面があった。
なのでおそらく下卑た理由などではなく、単にきちんと大人の恋愛というものを知ってもらおうと彼が思ったのではないかと推測する。
我々男も半世紀を過ぎれば、ひとつのことにあれもこれもと道筋が見えるものである。
その道筋の中でいずれ一緒に居なくなるとしても(その程度の予測は最初にする男だと思う)、相手にとっておそらくよりよい未来を、価値観を、影響を与えられると思ったのだろう。
そういう道筋が、自分にとって都合良いものひとつしか見えないのが、単純作業しかしていないサラリーマン然とした人間(老若男女問わず)の特徴であり、ために彼はデキがいいのである。
私は面倒見が良い方ではないので、アタマの悪い女については若かろうと何だろうと相手にしないのだが、それを考えても見上げたものである。
<アヲ帰ってこないかなぁ>
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あれから数年が経つ。
彼らは徐々にそのカフェバーに立ち寄らなくなったので、ずいぶん顔を合わせていない。
私自身、他人の人生についてどうこう思う性質でもない。
ただそれまで「若い女がいい」と言っている男たちに対する嫌悪感が、その一件以来、少しだけ軽くなった。
女たちもたまには、その外見であるとか、収入であるとかではなく、年齢をして「男は25を過ぎると退屈になるから」などと言ってほしいものである。
「夢を見続けようとする私の方が馬鹿なのかな」と ── 。
ただしくれぐれも何も知らぬ白痴の愚者が夢見がちに言うのではなく、酸いも甘いも知った者であって欲しいとは思う。
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[NEXUS]
~ Junction Box ~
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[Engineer]
:青猫α:黒猫:
[InterMethod]
-Ecology-Interface-Link-Love-Mechanics-Recollect-
[Module]
-Condencer-Reactor-
[Object]
-Friend-Human-Poison-
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[Cat-Ego-Lies]
:衛星軌道でランデヴー:
:君は首輪で繋がれて:
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