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TITLE:
お買い物。
Written by BlueCat
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240905
【お買い物】
眠ったのは朝になってから。たしか8時頃だったか。
なのに11時に目覚めてしまった。少し、疲れていたのかもしれない。
身体が疲れているときは夢も見ずに眠るのだが、頭が疲れているだけの時は何度も記憶を反芻する。
以前書いたこともあると思うが、目覚めるまでに問題解決の手段を検討したり、新しい歌を覚えたり、ゲームの攻略法を考えたりしている。
一人で黙々と考えることもあれば、奥様(仮想)と対話していることもある。やがて意識が水面に上がるようにして現実世界の身体の状態を認識する。
目覚めはだからいつも優しく穏やかだ。
今日はお買い物に出掛けようかと思っていたのだが、気が向かないので自宅警備にいそしむことにした。今日も忙しくなるぞー。
買い物に出掛けない代わりに、買い物について書こうと思う。
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【冷凍野菜】
僕は古いタイプのイキモノなので、冷凍野菜や冷凍食品というものに懐疑的だった。
しかし数年前に業務スーパーの冷凍野菜を買うようになってその考えを改めた。冷凍野菜は便利だ。
袋から出して鍋やフライパンに放り込むだけで、味噌汁も野菜炒めもできる。
サラダにするのはちょっと無理があるが、おひたしくらいなら頑張ればそれなりに美味しく食べられる。
とにかくその手軽さとスピーディさは忙殺される勢いの衰えることを知らない世俗の主婦/主夫どもを虜にするだけの実力を秘めているのだな、と感じた。
じつに僕も専業主夫であるから、これは素晴らしいのだと思う次第。
もちろんいくつか不満はある。
とくに根菜類は食感が悪い。
瞬間冷凍に失敗した個体かと思い、その後も何度か買ったが、そもそも瞬間冷凍によって加工されたものがあんなに安価に流通するはずもない。
ある程度加熱してから冷凍しても、細胞壁構造の損壊を防げないのだろう。
なので根菜については生のものを加工する方式に戻した。そもそもあまり熱心に皮を剥かなくなって久しいので、下処理の手間も少ない。
食感以外には、全体に香りが薄い。
茹でたての野菜に特有の、食感や香りや味わいというものは、当然ながら味わえない。
サラダ用のカット野菜も同様で、ゴムだかプラだか木片だか分からない「野菜っぽいもの」を食べて「野菜、美味しいね」とは思えない貴族体質(あるいは農民体質)なので、茹でた野菜やおひたしを作りたいときは、きちんと生の野菜を買う必要がある。
サラダについては手間と材料費を考えると、ひとり分を作るのは非常に不経済なので作らない。
食べたいときは、きちんと美味しい野菜でサラダを作ってくれる店に出向いて注文する。
ちなみに調理済み冷凍食品のうち、たとえば餃子であるとか鶏の唐揚げを試したこともあるが、こちらはたいてい口に合わなかったのでもう買わない。
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【デザート問題】
僕は酒好きだが甘いものも昔から好きなので、マーケットのデザートコーナに並ぶ色とりどりのファッショナブルでファンシィでファンタスティックなスイーツの数々を眺める。
昔はそれなりに美味しく食べられたのだが、体質が変わったのか、商品の組成が変わったのか、身体が受け付けなくなった。
マーガリンやファストブレッド、増粘多糖類、香料といった、僕の苦手な成分が多く含まれるし、クリームも主成分は植物油脂であるので「やれやれ」となる。
アレルギィに配慮した結果だろう。アレルギィ原因食材を代替した製品も増えた。
無論アレルギィ持ちの人にとっては幸せの選択肢が増えたことになるが、僕のように無縁の者からすると代替素材のそれに特有の「パチもん」感は否めない。
子供の頃ならあれでも美味しく感じたのかもしれない(その可能性は否定できない)が、今は味わい方も変わってしまった。
舌の上でエマルジョンが溶解するときの感触や香りが洋菓子の真髄のひとつだろう。
廉価素材のそれは、舌の上に粉のような油脂分がざらざらと残り、わざとらしい香りが鼻腔に居座る。
ふわりと消えてしまうから追いかけたくなる、はずのそれらから逃げ出したくなる、のでイヤなのである。
恋人だって、一緒にいる年月が長くなってなお探り合うコミュニケーションがあるから良いのであって、ひたすら追ってくるならそれはストーカーかDVである。おまわりさんあいつです。
もちろんスーパマーケットのそれらが悪いとは思わない。
安くて長持ちして広く沢山の人に楽しんでもらえる商品の方が、世界に貢献していると考えることは可能だ。
だから代替素材で作られたそれを「パチもん」と僕が呼んでも、蔑称としているつもりはない。
作り手と売り手と買い手のバランスを考えた最適解がスーパーのデザートコーナに並んでいるのである。
その最適解から、僕は外れている。それだけである。
それでデザートコーナの前で足を止めて「いいなぁ、美味しそうだなぁ」なんて指をくわえて眺めてしまう。
ファンタスティックで美味しそうなのだ。いい香りがして、なめらかで、甘やかなそれに溺れたくなるのである。
齢百のじいさんになったけれど、それでも子供の頃と変わらず、あれらの洋菓子に心惹かれるのである。
ポケットにお財布は入っているし、お財布にお金も入っている。大豆製品ばかりのカゴの中はかなりの余白もある。
奥様(仮想)は耳元で「ダメ元でも試してみますか?」と甘やかしてくる。
しかしそれを口に含んだときの一瞬の喜びと、そこから食後になってなお治まらない不快感と後悔を想うと、やはり買う気にならない。
未練がましく、とぼとぼとその場を去るのである。
ところが最近、時々行くマーケットのべーカリィコーナで、カボチャタルトを見つけた。
正確には妹が何の気なしに買ってくれたので(内心訝しみつつ)食べたのである。
これが美味しかった。
小さくて、少々お高いのだが、美味しい。
以来、時々買ってしまう。
デザートコーナの幻想に酔ってしまうと、ここでタルトを買うことにしている。
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【麦】
もともと白米が苦手なので自宅の白米(現在の備蓄は6Lほど)を消費しきるのに1年近く掛かるだろうと想像している。
糀床を作るのに使うのがメインで、食べるのはもっぱら玄米である。
しかし米が不足していると世俗が騒いでいるので、私のように滅多に食べない者が玄米ほしさに米屋に行くのも迷惑だろうと思い、自宅内備蓄白米を食することにした。
なれど白米に美味しさを見出せない体質である。それに睡眠障害(過眠)も発生してしまう。
それではとストッカに眠っている押し麦を混ぜたところ、これがたいそう美味しかった。麦は美味い。
しかし8割方を麦にしていたため、あっという間に押し麦を消費しきってしまい、麦を買う必要が発生した。
あまり詳しくないまま、もち麦なる品種を買ったのだが、残念ながらあまり美味しくない。なんだか酸味(?)がある。
俺は押し麦じゃなきゃダメなのか、と思い、しかしもち麦しかない店舗が多いので仕方なく、別の会社のもち麦を買う。
おかげで我が家には現在、もち麦が3袋もある。押し麦売ってくれよ〜!
ちなみに僕は米の消費量が少ないあまり、炊飯器を持っておらず、米びつもない。
生米は2Lのペットボトルに移し替えて保存している。
密閉できるし冷蔵庫に入れることも可能だ(匂いが移ると嫌なのでしていないが)。
目見当で計量するのにもボトルが丁度いい。
玄米は圧力鍋を使うが、白米なのでナメてかかって普通の片手鍋を使っている。
表面加工のされている鍋なのだが、蓋がない。
なので木の落とし蓋を使っているのだが、蒸らすあいだの水蒸気を蓋が吸収し、炊いた穀物をべたべたにしない。
これは! と思った次第。
我は鰹節もいちいち削るタイプの、昭和の男だからな。
古式ゆかしきことに美学を見出しているわけではないのだが、どうせ食べるなら美味しいものを食べたいではないか。
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