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TITLE:
謎みかんのマーマレード。
 
Written by BlueCat

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 先月の半ば、ミカンの木の剪定のついで、残った実のすべてを収穫した。

 前住人である叔父と叔母もその柑橘が何であるかを知らぬまま世を去ったので、僕もその謎のミカンの正体を知らない。
 おそらく庭木の植栽を頼まれた造園屋さんが適当に見繕ったのだろうが、説明しないなんてことがあるとも思えない。
 叔父と叔母にしてみれば、目隠し程度の意味しかなかったのだろう。手入れもしたりしなかったりで肥料を与えられたこともなく、僕が手入れを始めた数年前にはカイガラムシが大量に発生していた。

 2mと離れず家の窓があり、松があり、ハナミズキが植えられているうえ、下草も自由に生えているので梅雨時期はかなり湿気が溜まる。
 寒い時期にそれぞれの木を大きく選定してサイズダウンし、現在に至る。
 それでもまだカイガラムシはところどころに発生するが、当初に比べればずっと少なくなった。
 木を切り倒しまくっているおかげと言っては言い過ぎかもしれないが、小さな苗木が育つ行程を楽しむときは、大きくなった成木のことを考えて空間を取ったりしないようだ。
 そんなわけで過密になった成木を、これまでに8本程度は切り倒してきただろうか。まだ4本くらいは切り倒そうと思っているが。

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 そのようなわけで、そのミカンは美味しい実を付けない。そんなものを期待されずに植えられ、育てられたので仕方ない。
 しかし夏みかんのような大きな実を、年によってはごろごろと付ける。
 それに目を付けた近所の老婦人(僕が悩まされている人とは別の老婦人である)が、毎年、実が育った頃にやって来て、分けてくれというので持てる限りを分けている。
 なに、そのままにしておいたところで、僕の場合は堆肥に入れてしまうだけなのだから。

 大きく枝を下ろしたせいで一気に成りが悪くなった一昨年に比して、昨年は少し実が増えた。
 虫の影響も、過密な枝による傷も少ない、きれいな実である。
 老婦人に二度ほど分けたが、結局余った。
 余ったまま、枝にぶら下げていた。ものぐさなので毎年、春先になってから(ひどい場合は新しい花芽が付いてから)落としている。

 それで先月取った実を、試しにと、砂糖で煮ることにした。広義にいうところのジャム ── マーマレードである。

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【謎みかんマーマレードの作り方】

 まず、謎みかんの皮を切り剥く。
 ちなみに収穫した果実の皮を全量使うと、どうしてもエグ味が強くなるので、全体の1/3〜1/2を使う(残りは堆肥にするか捨てる)のが良さそう。
 今回は1/4ほどしか使わなかったので、エグ味が少なくてこれはこれでつまらなかった。

 分厚い、白い部分は、アクが強くて痺れるようなエグ味が出やすいので、白い部分がなるべく付かないように、薄めに切り剥く。
 剥いた皮はボウルにあけて、たっぷりの水に浸す。
 1〜2時間置いたら一度水を切り、鍋で水から煮立てる。
 煮立ったら中火にして3〜5分ほどで湯を切り、冷水にさらし、粗熱を取ったら再び水から煮立てて5分ほど茹でる。
 粗熱を取った皮を食べてみて、エグ味が強い場合はさらに茹でこぼしを続けるが、今回は2回でほどよくなった。
(量が多かったら、もっと茹でこぼすことになったと思う)


<茹でるといい香りがする>

 皮を茹でている間、身を切る。
 白い皮を切り剥いて、種を除いて実だけを鍋に放り込み、砂糖を「これでもか!」と投入して弱火で煮込んでゆく。
 写真のとおり、白い皮は実が見えるくらいまで、芯の方の皮も中央付近で切り落とした方が、実だけをきちんと取り出しやすい。
(どのみち堆肥にしていた実な ── 使わない部分は今年も堆肥になる ── ので、豪快に捨てる)


<包丁が腐食する>

 火を入れると、原形質分離も手伝うのか、勝手に実がほぐれてゆく。
 ある程度ほぐれたところで、ゆでこぼした皮を加え6時間ほど(果汁が少なくなって、少しまったりするくらいまで)煮詰める。
 煮詰まったら、半日ほど放置して冷ます。


<皮を入れる前。煮詰めるとアルミ鍋は綺麗になる。きび砂糖を使ったこともあり仕上がりは茶色になった>

 出来上がったジャム(と呼ぶには粘性が低くて、みかんソースのようになっていた)の粗熱が取れたら、煮沸したガラス瓶に入れるなり、タッパーに入れるなり、真空パックにするなりして冷蔵庫(あるいは冷凍庫)にて保存する。
 僕は今回、1/3ほどをタッパーに入れ、残りを真空パックして冷凍した(後日、保存瓶を買ってきた)。
 ちなみに冷凍しても凝固しない。当たり前だがガラス瓶に入れた場合は割れることがあるので冷凍しないこと。

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 マーマレードは子供の頃から大好きだった記憶がある。
 どういうわけか人参やトマトやピーマン、山ウドなど、少しエグ味のあるものが昔から好きだったのだ。
(そのかわり大和芋はアレルギィだったし、セロリは香りと苦味が強すぎて苦手だった)

 実際に作ってみると、思ったよりエグ味がライトになってしまったのだが、それでもほんのりの苦みと、とびきりの甘さで幸せになる。
 パン食はまったくしないのだが、ヨーグルトに混ぜたり、肉に合わせて食べている(ときどき、そのまま舐めている)。

 豚肉(可能なら厚切りのソテーが良いが、細切れを炒めても良い)を塩コショウとオイルだけで仕立て、ちょっとマーマレード(みかんソース)を掛けるのだ。
 市販の、肉の味も分からないペースト飴のようなスモーク鴨やハムなどの付け合わせにもいい。
 単調なペースト飴のような加工肉が、ちょっといい感じのオードブルに変わる。

 塩コショウで味付けをした肉に対して、マーマレードは甘み、苦味、酸味、香りのいずれも重複しないので、アクセントとして素晴らしいマリアージュなのである(個人の感想です)。
 ちなみに牛肉が相手だと、それぞれの香りが喧嘩してしまう気がするので、鳥や豚に向いているのかな、と思う。

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 そのようなわけで、マーマレードを自作した。
 夢のように幸せな味である。
 来年はもっとたくさん作れたらいいな、と思った。
 





 

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