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TITLE:
安物買いの文化水準。
SUBTITLE:
~ Slaves brew. ~
Written by BlueCat

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230104

 予約どおり歯医者に出かける。
 午後に帰宅してから近所のスーパーに行くが、混んでいたので嫌になって引き返す。
 夜に出かけようと思っていたが不可能になった。

 16時、急な呼び出しで高崎にバイトすることに。
 しかし当日のオープン2時間前に連絡してくるとは足下を見られている。通勤時間は2時間だ。
 準備に1時間掛かると伝え、家を出る。

 店は混雑し、スタッフは明らかに不足していた(だから僕が呼ばれた)。
 ブランクが長かったこともあり、3度もトレンチ(西洋丸盆)からジョッキを倒す。
 しかし飲み放題の客ばかりだから、特に問題はない。

 僕は基本的に飲み放題の店を嫌う。
 そういう店で働いていると、少し心が荒む。ほんの少しだけ。
 僕はもっと悪いことも知っているから、ほんの、ほんの少しだけ。

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【安物買いは実入りを減らす】

 飲み放題のアルコール(アルコール以外だってそうだ)は100円ショップと同じく、使う者の文化を衰退させる。
 もちろん100円ショップが悪いとは言わない。僕だって利用する。
 要は使い方だ。
 そしてモノを使うとは、とりもなおさず使う者の哲学の発露でもある。

 安いもの安いものと、それに向かい、群がる人たちは、お金を払って自らの文化レベル(生活水準というよりは、思考水準に近い)を野蛮にさせてゆく。
 自分は自分。他人の事なんてどうでもいい。
 手元のスタートとゴールだけ見て、ブラックボックスについては考えない。
 法や倫理に抵触しなければ、自分が損をせず、得をする最適解を追究する。
 その野蛮さに自覚のないことが恐ろしい。

 もちろん安く売っているものを求めること自体は悪いことではない。
 しかし誰かから買うことは、他の誰かから買わないことだ。
 誰かの労働によって得られる製品やサービスの価値(他者の市場価値)について考えることは、すなわち自分が労働によって提供する製品やサービスの価値(自身の市場価値)を考えることだ。

 自分の給料が安いと文句を言って製品やサービスの質(市場価値)を上げもせず、考え無しにただただ安いものを求めることは、中継している部分(価値を創出しているインフラや仕組み)を考えない点で、市場の餌にされている。自分以外の全員のカモにされていると言ってもいい。

 円高だった頃、人々は国産の食品より安い輸入食品に群がった。
 たとえばニンニクなどは、国産は今でも4倍ほど高い(美味しいけれど)。
 作った作物が売れなければ、農家さんは仕事を廃業する。
 同様のことがすべての業界で起こっただろう。大手メーカは国外に生産拠点を新設し、現地での人間を安く買った。
 日本で作られるものは高く、日本で作ると労働者のコストが高い。

 だから日本のものを買って使うのはやめよう、と、日本人が舵を切った。
 その日本人とは私かもしれないが貴方かもしれない。
 必然に日本は貧しくなった。
 安いものを求め続ける結果、自分自身をひたすら値切り続けてきたのだ。

 そうしたメカニズムを考えると今後も日本で暮らす以上、いかにして自身の市場価値をつり上げ、その価格が適正だと理解してもらうかが重要になる。
 それこそが死活問題であり、ただ安いモノを買い漁るというのは単なる思考停止の結果のジリ貧な逃避路である。
(ちなみに僕は、市場における価値を失いつつある。市場からますます独立し続ける予定なので、いずれ完全に失う)

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【私的な長い説明】

 僕は今でもゲーマーであろうとしている(自覚の上では、もうゲーマーではなくなってしまったが)。
 中古ソフトは至る所に氾濫している。
 それを買うこと自体は法にも倫理にも抵触しない。
 プレイし終えたゲームを売ることも、違法ではない。

 なんとなれば買ったばかりのゲームを他のメディアにコピーし、買ったほうのゲームを即売却したとして、コピー利用さえバレなければ問題はない。
 所有している間は自分の所有物たるメディアからデータを複製しているだけ ── 今はこれは違法になるかもしれない。僕はよく知らない ── であり、所有している物を売却すること自体は合法である。

 中古ソフトを売買することは、しかし基本的に、クリエイタには一銭も払っていないことになる。
 ただし自分はプレイしたいゲームをプレイできるだろう。

 そしてクリエイタはどうなる。その会社は? 取引先は?
 仕事に対する正当な報酬が得られなかったがためにゲーム会社は淘汰され、クリエイタはやる気を失い辞職し、良質なゲームは世から減り続けている。

 今やゲーム会社がクリエイタに求めるのは、クリエイタが作りたいと願った「面白いゲーム」ではなく、「売れて、お金を生み出すゲーム」だ。
 単価が高くてもいいし、ズルズルとお金を払うことを余儀なくされるゲームでもいい。
 仕組みさえ浸透してしまえば、ガチャゲーという悪習
さえ人は受け容れ違和感を持たなくなる。
 高い収益性を上げるゲームこそゲーム会社にとっては「よいゲーム」である。

 広く多くのユーザが「面白い」と感じたパッケージドメディアのゲーム(DL販売ではなく、現実世界の媒体に書き込まれているもの)は中古市場に蔓延する。
 100人の人間が「今すぐプレイしたい」と購入し、何らかの事情(コピーしたのか、クリアしたからなのか、飽きたのか、肌に合わなかったかは知らない)で手放し、次の100人が「今はプレイしたい」と購入し、再び手放し、次の100人が「いずれプレイしたいと思っていた」と購入し手放し……という連鎖が数段構えで存在しただろう。今もするかもしれない。
 たしかに中古販売されるのは数万本売れたうちの数百本、数千本かもしれないし、連鎖の中で徐々にその件数は減るだろう。
 しかしその連鎖の累計は、本来の販売母数に対してどれほどの割合になっただろう。

 中古ソフトを買うことはもちろん、売ることだってゲームを衰退させた原因には違いない。
 それでもいざ購入するとき、10円でも100円でも(場合によっては半額以下で)販売されている中古ソフトを前にして、それに手を伸ばさないことはむつかしい。
(それは今のところ違法ではないが、僕は倫理にもとると認識している)

 ゲームに限ったことではない。
 ありとあらゆることを僕らはそうして、自らの手で、殺していったのだ。
 海外製の家電や電子部品が安ければそれを買い、輸入食品が安ければそれを買い、そうやって国内メーカや国内の農家の仕事に、その成果物にそっぽを向いてきたのだ。

 今頃になって国内メーカの力不足を嘆いたり、食糧自給率を嘆いたり、賃金水準の低迷を嘆いたり、少子高齢化を嘆いたりしても仕方ない。
 それを政府のせいにする以前に、自分たちの首を絞める行為を僕らはずっと続けてきたのだ。

 ではどうすればよいか、ということについて、僕は策を持たない。
 今まで(裕福でなかった頃から)そうしてきたように、よいと思ったものを探し、適正な価値を自分の価値観で計り、可処分所得内の合理的価格であれば買う。
 国の内外、ブランド、歴史、他者の評価、相場感というものは関係ない。
 僕はモノと向き合うときに、自分なりの尺度を持っていて、それに従っている。
 価格はそのモノの価値におけるパラメータのうちのひとつに過ぎない。

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 安ければ買ってしまう、とか、スーパーで半額だと取りあえず気持ちが動いてしまう、というタイプの人間を僕は知っている。
 今や未来の自分に必要かどうか、価値が自分にとって適切かどうか、価格が価値に適正かどうか、という判断ができず、本来の相場から価格が下がっているために、相対的に価値が高いと誤算してしまうのだろうと想像する。

 売れ残っているというのは本来の価格相応の価値がないと見なされており、価値相応に近づけるべく価格を下げているに過ぎない。
 たとえば賞味期限間際の食品を買うことが悪いとは思わないが、買ってすぐに使わずに駄目にしたら元も子もない。
 まぁ僕もそういう商品には目が行く方だし、迷った挙げ句に駄目にした経験が、結構あるのだが。

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【価値と価格を不透明にする仕組みの将来】

 サブスクリプションサービスも、その多くは、商品の単価をユーザに考えさせない仕組みになっている。
 ゲーム以外のコンテンツも、コンピュータアプリケーションも、自動車もそうなってきた。
 非選択的なサブスクリプションともなると、さすがに辟易する。
(超長期的に考えない限り、売り手有利の市場になるため)

 音楽クリエイタがSNSで愚痴を言ってニュースになったこともあった。
 動画サイトでレーベルがPVをリリースしたりしている。そういう時代になった。
 高額な機材、優秀なスタッフ、才能あるクリエイタが、タダでコンテンツを放出している。
 当たり前のように見過ごし、あるいはそうした時代の到来を喜んでいる人もいるだろう。
 僕は経済至上主義のはずの社会の片隅で発生している綻びに、しかし少々恐怖を感じている。
 経済ありきの社会は変わっていないのに、経済が介在することなく価値が垂れ流されている。

 目先の価格につられて、本来の価値を考えない人間を作る仕組みが次々増えている。

 あれは一体誰が得をする仕組みだろう。
 ユーザは果たして得をしているだろうか。
 仮に得をしているとしたら、代わりに何を差し出しているのだろう。
 あるいは誰にその損失を押し付けているのだろう。

 そしてこれらは将来の人間の価値観に、つまりは人々の文化に、どんな影響を与えているのだろう。

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 帰宅は翌1時。
 入浴したがなかなか寝付けず、4時に就寝。
 考えたら1日食事をしていなかった。

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 追記。

 あるサッカー選手がラーメンの価値を2000円の価格に相応すると評価したことについてニュースになっていた。
 件の選手はおそらく、自身で料理をする事もあるのだろうと想像する。
 なぜといって麺から具材からスープから器から箸に至るまで、きちんと作ればその程度の価格にはなることは予想に難くないからだ。
 価値を価格でしか計れない人間は、なるほど安ければ安いほどよいのだろう。
 思考能力も実行力もない奴隷を、この国はたくさん必要としてきた、その結果だろうか。







 

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[NEXUS]
~ Junction Box ~
 
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[Engineer]
  :青猫:黒猫:
 
[InterMethod]
  -Algorithm-Diary-Ecology-Link-Mechanics-
 
[Module]
  -Condencer-Connector-Generator-Reactor-
 
[Object]
  -Game-Human-Koban-
 
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[Cat-Ego-Lies]
  :君は首輪で繋がれて:ひとになったゆめをみる:
 
 
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