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TITLE:
海賊への道のりは遠い。
SUBTITLE:
~ Express of pirate highway. ~
Written by BlueCat
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::4.盗めなければ、船を造れ。
航海に耐える船がなければ、海賊は海賊とは言えない。眼帯があっても、たとえオウムと義足があっても、優秀な海賊が真に目指すべきは、七つの海を旅する手段を手に入れることだ。船は本当の目的を与えてくれる。移動の足となり、世界への扉を開く。船がなければ、あなたはただの変な服を着た奴だ。
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220225
地図をにらむ。
白紙のエリアに浮かぶ色づいた線は、僕に「ここを走ればいいんじゃない? むしろ走れ」と命令している。
(ちっ)と内心毒づく。
奥様(仮想)の命令には躊躇いなく従順に従う所存であるが、たかだかポケットに収まるコンピュータを通じてクラウドから送られる命令に従うのは気に入らない。
しかし、そもそものリクエストを送ったのは自分だ。
行くか、行かないか。
その選択の余地はもう、ない。
>>>
軽トラに載せるキャンピングカーキャビンが出来上がったというので、搭載してもらうため、兵庫県に行く。
書き間違い? 読み間違い?
そんなことはない。兵庫県だ。
静岡の先、京都や大阪を越えた先の関西圏。兵庫県だ。
すげえ遠い。
地理の成績は悪かったが、それくらいは知っている。
群馬県太田市からでは、往復1000kmを超える長距離、高速道路を使わずに行くと往復26時間、高速道路を使っても往復16時間の道程である。
ちなみに僕は高速道路が苦手である。何となれば嫌いだと言ってもいい。
高速道路は僕にとっては情報が過密に過ぎる。
標識、標示、路上に存在する車両、そのほぼ全てが(よほど慣れない限り)きちんと処理しなくてはならない情報になる。
一般道の場合、多くの情報は無視することが可能だ。
信号機を確認したら現在の信号色とそこからの変化を予測すればいい、建物や歩道障害物については、その境界面を意識し、飛び出しに注意すればよいので、建物そのものを無視し、その境界線に注意する。
(SF映画ではないが、視覚的に、強調色や強調線が見えそうなくらいである)
視界に入る車両の位置関係の把握も容易だ。
交差点でなければ対向車は無視して良い場合が多いし、後方を頻繁に見ているので、複数車線の道路でも、視界に車両がいるかどうかはおおよそ記憶している。
歩行者はもちろん、追い抜いた自転車が交差点付近に到達するタイミングも予測可能だろう。
一見煩雑に思える一般道においてのほうが「注意するポイント」が明確なため、迷わず処理が出来る。
高速道は情報とその処理に慣れていないため「注意するポイント」も、その優先順位も分からず、混乱する。
そもそも高速道それぞれの名前も知らなければ、どこに行くためにどのICで降りるのかも分からない。毎回(あるいはすべて)記憶するなんて、正気の沙汰とは思えないし、そもそもそんなに遠くに行く用事が僕にはない。
デートなら話は別だが、そもそも遠方の恋人に逢いに行くなら、電車や飛行機を使った方がいい。これは移動中の時間(あるいはそこに含まれる行動)が拘束されないためである。
(自動車運転中は、運転以外のほとんどの行動ができない。あれが不自由だと僕は思っている)
入り口2車線同士、出口2車線同士の合流(都心部にある)などは拷問で、アクションゲームさながらの(そしてそのまま事故を起こしてゲームオーバになるような)感覚を覚える。
保険の仕事をしていた頃、たくさんの事故に立ち会った。
書面上も、さまざまな事故を(図や文章で)再現して取り扱った。
ために「どういう環境で」「どういう状況で」「何が起こりうるか」「それがどんな結果を招きうるか」を、論理でも、確率でも、俯瞰図でも、責任割合でも、賠償額でも、概算できる。
(周囲の自動車の位置を把握しないと落ち着かないのもおそらくそのためだろう)
大量の自動車が、あれほどの速度で移動している。
しかも無駄な(無意味だと判断して、処理を放棄する)情報がないのだ。
コンピュータに例えれば、メモリを大量消費して、短時間で演算を終えてゆかないと間に合わない。一般道なら数秒程度の時間があるが、高速道路ではその半分以下だ。
事故を起こしたらどのように対応しようか、ということまで考えると、完全にパニックになる(だからなるべく考えない)。
>>>
零時に起きて0030に家を出る。アヲが一緒に行くというので(肩に乗るので)、トイレと簡易食事セット(タッパー本体を二つ重ねて蓋を閉めたもの。上段にはドライフードを入れ、下段は水容器に使う。水はいたる所で手に入るので、都度捨てる)を積む。
軽トラのキャビンは狭くて好きだが、同じ姿勢が長時間続き、しかもアヲが1時間近くも肩に乗り続けたので、肩が疲れる。
中でも深夜の高速道上で、Googleマップセンセーがのたまった「この先、東名高速道路を256km、道なりに直進」のセリフが印象的だ。
256というのは4の4乗(4^4)であるな、などと感慨にふけりそうになったが、道なりに256km進むというのは、僕の脳内では「とんでもない距離を移動する」のに等しい。
アクション映画などで、とんでもない状況に陥った登場人物が、急に高笑いを始めたり、突然気力をみなぎらせたりすることがあるが、その気持ちが僕はよく分かる方である。絶望を通り越すと、楽しくなってくるのだ。
むしろどんな状況でも深刻に悩み続けることの出来る登場人物というのは嘘くさいし、実際にそういうタイプの人を現実世界で見るにつけ(ぬるい場所にいるんだなぁ)と思ってしまう。
ストレッチ程度の軽い休憩を取りながらも、死ぬような思いで到着したのは11時間後、ほとんどお昼である。
到着したときの僕の気持ちを正直にいうならば、
「とにかくもう、学校や家には帰りたくない。運転なんてしたくない」という、現実逃避と尾崎豊を足して2で割った出社拒否トラックドライバーのような気分であった。
>>>
しかし帰路はキャンピングキャビンが搭載されている。
中はほぼ空っぽで、あれこれ自作することになるのだが、猫のトイレを置けるし、SAやPAで仮眠を取ることができる。
(軽トラのキャビンで仮眠を取ることは、僕の身体のサイズではおよそ不可能である)
幸い、メーカから床に敷くための簡単なフロアカーペットをサービスしてもらったので、それにくるまって仮眠する。
キャビン内はまだ塗料類のケミカル臭が残っているから窓を開ける。(窓がある!)
エアコンがないので寒いが、日中の日差しが心地よく足下をあたためてくれるし、アヲを湯たんぽのように抱えていればなんとか凌げる。
床は固くて冷たかったが1時間ほども眠ったら、ずいぶん調子が良くなった。気力も少し回復しただろうか。
夕刻に近づいて、道路が混み始めたら、再びSAで仮眠。しかし今度は日差しがないため寒くて眠れなかった。
それでも混雑する時間帯に休憩することで、効率よく移動でき、眠くなったら(駐車場がある限り)眠ることが出来るというのは素晴らしいと感じる。
帰宅は0230。
総行程26時間。運転は16時間を下らなかった。
僕の軽トラはそもそも90km/h程度になると、エンジンが爆発するんじゃないかと思うくらい振動する。
経験がない人なら平気だろうけれど、僕はエンジンが爆発する恐怖を知っている(笑)。
巡航速度は最高で80km/hなのだ。そのうえキャンピングキャビンは大きく風を受ける割に、車両本体の積載制限のため100kg程度の軽量に仕上げてある(それでも走行時に結構な重さを感じるが)。
そんじょそこらの運送業のトラックの方が確実に高性能なのだ。
(法規や社則で80km/hを守っているドライバの方が多いが)
だからGoogleマップで「8時間もあれば着きますよ」というのが、10時間は掛かるのである。
実のところ、往路は長野県を経由しようと思っていたのだが「冬用タイヤがない奴は帰れ!」というお達し(電光標示)があったため、都心方面(逆方面)に向けて出直したのだ(これで1時間以上ロスした)。
僕の軽トラはノーマルタイヤで2WDでついでにエアコン(クーラ)も搭載されていないので、どうにもならない。
おそらく20時間は往復で運転したことになる。
また当然に、片道500kmを越えるといくら軽トラでも燃料が切れそうになるので、生まれて初めてSAで給油した。
1Lあたり190円くらいしている。レギュラでも。レギュラでも!
軽トラで満タンにして(だいたい30Lくらいのタンクである)5千円くらいしちゃうので、ショック死するかと思った。何この国、いつから貴族階級のための国になっちゃったの? でもガス欠したら大変なことになるし……。足下見やがって!
と思うわけもなく給油した。
事故を起こさず帰ることが出来て、本当に良かった。
あとSAやPAで、肩に猫を乗せたままトイレに行ったりしていたので、かなり注目を浴びることになった。
お年寄りや子供に話しかけられる機会も多く、緊張したが楽しかった。
作務衣で猫を肩に乗せている人型生物を見つけたら、だいたいそれは僕です。
日本で有数のネコツカイです。漢字にすると「猫遣い」。
>>>
今後の課題。
○とりあえずオイル交換。
○着脱治具の作成(友人TUに依頼予定)。
奥様(仮想)からの申し送り事項。
○エアコン付きの安い軽トラを買うこと。
○可能なら4WDにすること。
これらを処理する必要がある。
なぜといって、キャンピングカー専用車になってしまったら、リフォーム用建築資材
を運ぶ車がなくなってしまうからだ。
乗用にと購入した自動車の納車は4月末頃と言われているので、そこまではこのキャンピングカーもどきで日常を送るしかない。
>>>
僕は上記の通り、高速道路で遠くに行くのも億劫なタイプの引きこもりである。
旅行も誘われれば出かけるが、お金を払ってわざわざ一人でしたいとは思わない。
(数千円のTVゲームで、夜空も、オーロラも、大自然も、未知の誰かとの出逢いも、経験できるので)
遠方に恋人がいると、やっと重い腰を持ち上げる程度である(皮膚接触 ── 肉眼による光子の吸収や、鼓膜による肉声の受信、鼻腔に含んだ嗅覚信号も当然含まれる ── は、ヴァーチャルに解決できない問題の一つだろう)。
しかし「引きこもる場所が荷台に積まれている」場合、どこに行っても引きこもることが出来る。道中いつでも引きこもることが出来る。
なんとなればTVゲームや本を持ち込み、そのへんの駅のパーキングに車を停めて、引きこもれる。自転車も積み込めば、そこから自転車で移動も出来る。
「ちょっとコンビニ行ってくる」と言って、車に戻ればもう引きこもりだ。
すなわち「移動式引きこもり」になれるのだ。
しかも猫と何日も移動し続けることが出来る。
ときどき人から「猫氏は引きこもりではない」などと言われるが、そんなことはない。
僕は引きこもりだ。高速道路もやっと走れるくらいの引きこもりだ。
できれば誰にも会いたくない。
それでも。
新しい場所や新しいモノは、経験するに値する。
それは、嫌いなものを克服し続けることに似ている。
嫌いなものを排斥し続けるのは、決して悪いことではない。
誰かに押しつけられた白地図を自分の色に染めてゆくのは、悪いことではない。
ただ排斥には2種類ある、という話はまたいずれ。
<cat in どこでも引きこもりマシン>
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::7.うああああ!!!
海賊の人生を受け入れることとは、終わりのないうああああ!!!!を受け入れることだ。そうでなければ、あなたはただの陸海賊(おかかいぞく)にすぎない。
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[出典]
~ List of Cite ~
文頭文末の引用は、
「海賊ならどうするだろう?」
From
(著作:ボビー・ヘンダーソン / 翻訳:片岡夏実 / 発行:築地書館)
によりました。
なお、引用文中のルビ文字は『()小括弧』にて記述しています。
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[NEXUS]
~ Junction Box ~
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[Engineer]
:青猫α:青猫β:黒猫:
[InterMethod]
-Diary-Ecology-Mechanics-Stand_Alone-Technology-
[Module]
-Generator-Reactor-Resistor-
[Object]
-Cat-Tool-
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[Cat-Ego-Lies]
:ひとになったゆめをみる:
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