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TITLE:
221019 猫様観察日記
SUBTITLE:
~ Archeology. ~
Written by BlueCat

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220119
 
 猫様の過集中が収まった。
 数日前、コンピュータを修理するためにデスクトップPCを導入することを提案し(早々に購入させ)、そのモニタを買いに行ったついでに洗濯機と冷蔵庫も買わせた。
 ちなみに店頭では気に入るモニタがなく、帰る前に少しだけ製品を見ておこうとした場面だった。
 
 猫様はぼんやりして意思決定力が乏しくなっており、注意力も散漫で、基本的に意識が朦朧としていて、認知症になったらきっとこんな感じだろうというように観察された。
 そのときちょうど店員さんが話しかけてきたので、流れに任せて(近いうちに買おうと仰っていた)冷蔵庫と洗濯機を買わせたのである。
 
 昔から猫様にはこういうときがある。
 つまり過集中の前後と最中、猫様は自我というのか、自覚というのかがひどく乏しくなるのだ。
 意識はあるし会話もできるのだけれど、自発的に何かをしようとか、そういう目的意識もなければ欲もない。
 もしかしたら子供の頃からの習慣でそうなってしまったのかもしれない。
 猫様は基本的に「これが欲しい」というような欲求を表明することがほとんどない。対外的にともなるとおよそ皆無と言ってもいいだろう。恋人にさえ、求めることを言わないほどだ。
 たしか「欲しいと言ったものは手に入らない」というジンクスを子供の頃から抱えていたような気がする。
 つまるところ猫様はそもそも欲求を持つことに絶望したのだろう。欲求を隠すとか、ただ言わない、というのではなく。
 その癖が抜けずに、未だに気力をなくして ── そもそも情熱を傾ける対象を持たないのだ ── ぼんやりと自分の生命を持て余し、途方に暮れてしまうのだろう。
 そう考えれば猫様の希死念慮はきわめて自然だ。
 
 その希死念慮を一定の目的が果たされるまで緩和し、達成まで生命維持を最適化するのがわたくしの役目なので、青猫様の自我が朦朧としている状態をいいように利用してでも環境に含まれる不快な要素を改善することは猫様に与えられた使命そのものであり、不快な状態(正確には破損、もしくは非常に不便な状態)にあった家電を刷新させることは間違っていない。多分。
 猫様は「他の店で買う予定だったのだけれど」などと小声で呟いているが、そんなものは誰も聞いていないしわたくしも聞かない。
 
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<生中継>
 猫様が、歌を歌っている。
 たまたま開いた Youtube で、大石昌良さんが生放送をしていたから。
 それに合わせて歌っている。
 PCがあるとまるで別のイキモノみたいだ。
 ずいぶん回復したように観察される。
 
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 冷蔵庫と洗濯機の配送日がモニタの配送日と重なったので、前日にはあれこれ準備をしておくのかと思ったら(実際、猫様はそんなように言っていたのだ)、前日はもう一台の冷蔵庫(ベッドの脇に、まるで初めて営団地下鉄の券売機の前に立つ地方の人のように所在なげに置いてある)の電源を入れただけだった。
 
 だからといって当日、どうしようもない状態になったのかといえばそんなことはない。
(おそらく午後の配送だと分かったので、スケジュールを組み直したのだろう)
 
 猫様は昨朝きちんと起きた。かというとそんなことはなくて、夜通しゲームをしていた。
 正確には2時に眠ろうとした様子だったのだけれど、どうにも寝付けなかったらしく、1時間後に起き出してゲームをし始めた。
 
 8時頃から今ある洗濯機で最後の洗濯を始め、9時頃に到着したモニタをさっそく設置した。
 そのままノートPCのリストアを行うのかと思いきや、冷蔵庫と冷凍庫の中身を買い物かご(猫様は4つもそれを持っている)に詰めて、台所から寝室へ(家の対角線上の角にある)運び、詰め替えをした。
 それが終わると(謙遜ではなく事実として)物置のようになっている台所のキッチンカウンタ(じつに猫様が運び込んだものを含めて3つある)のうちの1つを上に乗ったスチームレンジごと(廃棄処分のため)納屋に運び出した。
 
 電子レンジは猫様が長年愛用していたものがもうひとつ、運び込まれてある。
 この家(の台所)で2年ほどは寝ていただろうか(いかに台所の中が物置と化していたかについて、理解いただけるでしょうか。そうでもないのでしょうか)。
 なので電子レンジの1台や、キッチンカウンタの1基くらい、ない方がよいのです。正常なキッチンの姿なのです。
 
 洗濯が終わって衣類などを干し終え、キッチンカウンタやゴミ箱の配置を(搬入出のスペースを確保するため)変更すると、猫様はおもむろに冷蔵庫を動かし始め、そして「かつて冷蔵庫があった領域」を視認し、これまたおもむろに悲鳴を上げた。
 
 メーカがどのような設計思想によって冷蔵庫を(その足を)可動しないようにするのか、掃除のために手を入れる隙間さえ作らないのか、わたくしには分かりかねます。
 猫様は呆然と、変色した床のべたべた ── 謎の液体がこぼれて水分だけ蒸発したものと、その上に埃が積もったものと、半身になった1匹のゴキブリの死骸 ── を眺める。
(どうして下半身だけ無くなるのかについてネットにめぼしい情報は無いものと思いますが気になる場合は各自お調べください。猫様はその理由を直感的に理解したようです。ちなみに形状から判断するにメスのようでした)
 
 埃 ── 掃除機で吸うべき。雑巾は不適。
 べたべた ── 雑巾で拭くべき。掃除機は不可。
 ゴキブリ ── 掃除機、もしくは直接除去。雑巾で拭くべきではない。
 
 この複合汚れよ。
 そして床という非可動型の対象よ。
 そして使用人も召使いも使役できる使い魔も強くて優しい妻も恋人も(少なくとも今ここに実態を持っては)いない青猫様よ。
 最低でも20年前後の時を経て今 ── 猫様ではない誰かの不始末により散々な状況になっている ── この床をどうにかしなければ、新しい冷蔵庫を設置することも叶わないのである。わたくしは知りませんが。
 
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 猫様は大量の呪詛を吐き出し、しかし床の清掃を終えた。
 犠牲になったのは使い捨てビニル手袋2組、雑巾4枚、工業用ウエス3枚、500ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液(漂白剤を薄めたもの)およそ750mlである。
 床だけでなく、壁紙も家電焼けを起こしていたので、それらを可能な範囲できれいにした猫様は偉かったと思います。
 しかし床と壁に3mm程度の隙間を発見し、そこから風が漏れている(外気が侵入してくる)ことに気が付いた猫様は、ただちにシーリングする必要を感じたものの、今から作業開始しては間に合わないと判断したようで、洗濯機の移動を始めました。そうです、床を掃除するのです。
 
 幸い、洗濯機の置かれた脱衣所的な場所は5年ほど前、業者によるリフォームがされた場所だったため致死的な惨状を見ることはなかったのですが、排水設備が塩ビパイプに排水ホースを直差ししただけの非常に簡便なもので、当然ながらそこからも風が吹いていることが判明。
 
 この家ですべての窓を閉めていても、廊下に焚いた線香の煙が真横にたなびき、どこからともなく昆虫がやって来る原因がまたひとつ解明されたのでした。
 
 猫様はまたも大量の呪詛を吐き出しながら床の掃除を終えたあと、いかにしてこの家の隙間を塞いでゆくかについて思案されているようでした。
 わたくしは「そういえばガソリンエンジンも排気ガスを排出しないと稼働しないな」と思ったものです。猫様、えらいぞっ。
 
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 このようにして洗濯機と冷蔵庫が新しくなり、デスクトップPCにモニタが接続されてようやく使い物になり、猫様は自我を取り戻したのでした。
 めでたしめでたし……? なの?
 
 ちなみに冷蔵庫は翌日(今日)の午後まで中途半端な位置に放置され、猫様は午前中からシーリングにいそしんでおられました。
 
 現場からは以上です。
 
 
 
 
 
 
 

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[NEXUS]
~ Junction Box ~
 
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[Engineer]
  :none:
 
[InterMethod]
  -Convergence-Diary-Ecology-Interface-Link-Memory-
 
[Module]
  -Condencer-Connector-Transistor-
 
[Object]
  -Computer-Tool-
 
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[Cat-Ego-Lies]
  :君は首輪でつながれて:
 
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