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TITLE:
ジントニックの夏が来た。
SUBTITLE:
~ Gin'n'tonic in the summer.~
Written by BlueCat
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バーに出入りするようになって数年経つ。
それ以前はというと、僕はあまり外でお酒を飲まなかった。
お金がなかったし、家にいることがそのまま娯楽だったから、どうせお酒を飲むなら家で料理をしてゲームをしながら飲んでいる方が楽しかった。
前橋に仕事の関係で引っ越して一年ほど経った頃だったか、自宅の近くにバーがあることを知ったのは。
シガーも出してくれるということで、緊張して、出かけた。何せ人生初バーである(それ以前もあっただろうか。あった気はする)。しかも知らないバーに1人飛び込むのである。
以来、その店がホームのようになってしまった。前橋でも老舗の有名な店らしく、知る人も多いようだ。
もともとカクテルは好きではなかった。
さらに言えば、ジンなんて飲めるものではないと思っていた。
僕の知っているカクテルは、香料と着色料を多く含有したライムジュースやらシロップやらを使っているケースが多く、またジンも工業用アルコールに香料を溶かしたようなひどい味のものしか知らなかった。
まったく安い酒しか知らないことは、学校で遊んでばかりいたことに等しい。
だからその店でカクテルを飲むたび、本当に驚いた。
今では時折、ジンを買って自宅でも飲む。
ほどほどの値段の、しっかりとしたジンである。
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ジントニックを教えてもらったのはいつだろう。
なんとはなしに頼んだら、それがとても美味しかった。
僕はお酒が好きな上、他の人と比べると上戸であるらしい(近年はずいぶん酔いやすくなったのでリーズナブルになった)。
飲んでも酔わないというのは、お金が掛かるという欠点以外に何の利もない。
酒が強い自慢をするバカな男どもが僕の世代までは多かったが、全員地獄に落ちればいいと思っていたのでおそらく地獄の酒屋は賑わっているはずだ。
僕はお酒が昔から好きだったので、なるべくならお酒に弱ければいいのに、とずっと思っていた。
酔うことが好きなわけではないけれど、ある程度以上酔ってしまえば、それ以上は飲みたくなくなるのだから。
ジントニックは、ロングカクテルなので、度数は比較的少ないはずである。
だから僕は、それをまるでジュースのように飲んでしまうのだった。
同じ材料を同じ分量使っても、作り方で味が変わるのだと教えてもらい、実際に飲み比べをさせてもらった。
僕は1/8 ── 1/6や1/4の場合もある ── の櫛形に切ったライムをグラスの中で絞り、グラス内面と縁をピールで撫でて香りをつけてからグラスの中に落とし、氷を入れてジンを注いでトニックウォータを注ぎ、最後に軽く(ほんとうに軽く)ステアする。もっともフルーティでジュースのようになる飲み方である。
ひと仕事終えた暑い午後、水を張ったたらいに足を浸しながら、冷えたそれをぐびり ── 。
素晴らしい瞬間である。
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基本的に、酒のことも煙草のことも、誰かに語るものではないと思っている。
嗜好品だから好きな人は好きだけれど、親の仇のように嫌っている人もいるからだ。
それに酒や煙草に強いことを自慢にしているバカどもは、いかに自分が酒や煙草を知っているかを自慢していた。
僕は(おそらく)お酒に強くて(まことに)お酒が好きではあったけれど、他人に知識を自慢する行為は恥ずかしいと思っていた。
ごはんと一緒で、食べてみて、飲んでみて「おいしい」と思わず言葉がこぼれる。それですべてだ。
「南魚沼産のコシヒカリで契約農家から直売してもらっていてこの特殊なコーティングがされた炊飯ジャーで炊くと……」なんて話を聞いているとげんなりしてくるタイプの人間が僕である。
そしてそういう自慢ともつかない蘊蓄語りを、少し間違えるとし始めるのが僕でもある。
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近年はトニックウォータもライムも、手頃な価格で手に入るようになった。
暑くなって「さて今日はジントニックをしこたま飲もう!」ともなれば、近所のスーパーに出かけてトニックウォータとライムを買えばそれでいいのだ。
だから少しだけ、夏も楽しめるようになった。
海にも行かないし、山にも出かけないし、釣りも誘われないし、女性に「汗だくになってあーんなことやこーんなことをしようよぅ」とも誘われなくなった。
家の修繕をして庭の草取りをして、畑を耕して焼却炉で炭を作って、早風呂するくらいしかすることがないのだ。夏なんて。
だからジントニックを飲もう。そう思った。
足を水に浸して飲みたいもう一つはモヒートなのだけれど、ミントは高価で日持ちしにくいため、これは試していない。
いつの日か、庭でミントを栽培できるといいのだけれど。
<お誕生日おめでとう。気付けば1年以上一緒にいるね。キミはこんなに小さかったんだよ>
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[NEXUS]
~ Junction Box ~
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[Engineer]
:青猫α:黒猫:
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[Cat-Ego-Lies]
:ひとになったゆめをみる:
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