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// TimeLine:2021-05-04
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TITLE:ひとり旅くらしをしてみたいが。
SUBTITLE:
~ Cattle drive. ~
Written by BlueCat
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不労所得者になったら、自動車でも自転車でもいいから数ヶ月旅をしようと思っていた。けっこう前のことである。
実際に無職になってみると(猫を飼っているという事情を無視しても)まったくそんな気にならない。
ときどき、ぼんやりと、入浴中などに(まぁ、そういうのもいいけれど)と思い返すくらいである。
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僕が最近、実際にやっていることといったら、園芸と家のリフォームである。
いずれも未経験で知識もまったくない。
力仕事は不得手だし、植物なんて触るのも嫌いな、完全インドアタイプの軟弱なイキモノが僕なのだ。
しかしこの家は、旧来の純粋な日本家屋であるため、断熱材も樹脂系シーリングもされておらず、花粉はもちろん、どこからともなく入ってきた虫が家の中に居るなんていうのが当たり前で、その時点で相当神経を病んだ。
あちこち痛んでいる道具や建具に囲まれているなんて我慢できないので、リフォームをし始めたわけである。
おかげで壁塗りもできるようになったし、床の張り替えもできるようになった。
柱や梁の歪みを矯正する知識や道具も喫緊に必要とされているので近いうちに揃えようと思っている。
その前に夏までにもう一部屋、床を張り替えたいと思って、まずは壁を塗っている。
同時に畑を整備すべく庭を開墾しているのだけれど、これが力仕事だけでは済まされない。
最近は、木の根を切り起こすことにも慣れてきたし、鍬を振って当たった金属音で、そこに根があるか石があるか分かるようにもなった。
(めちゃめちゃ無駄な知識と経験であるが、鍬で庭を耕す上では役立つ)
生かしておく木は枝を剪定しなくてはならなくて、そのための脚立や命綱の使い方にも慣れてきた。
ただ、畑にする場所は耕してもすぐに使えるわけではなくて、土を作る必要がある。
長らく放置されている間に土の生態系も変化しているようだし、従前、正しく保全管理されていたようには思えない。
(いずれ機会があれば書くが、コンポストの使い方なんて「オマエらそれでも元農家か」と言いたくなるほどそれはひどいもので、僕は呪詛の言葉を投げかけては腐敗を促進させている)
実に土壌というのはひとつの見えない生態系であり、無機質やphのバランスはもちろん、細菌類の生態圏を新たに構築するとなると本当にむつかしいのだと気づかされる。
空気と水の循環はもちろん、日照条件の確保や温度と湿度の自律環境を作り出し、恒常性を持った土壌を作ることをアタマの中でいくら思い描いていても、道のりは遠いと感じる。
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建物を自分でどうにかしようとか、作物を庭で作ろうとか、そういう発想を、僕はTVゲームから身につけた。
建物を作るのが楽しかったのは「Fallout4」で、作物を作るのは「SKIRYM」。
いずれもゲーム体験自体が秀逸な素晴らしい作品である。
Fallout4でも作物は作ることができるし、畑を作ると考えればSKIRYMのそれより現実的かもしれない。
しかし種を撒いて出来た野菜や薬草やキノコから食事を作ったり、薬や毒を作るというシステムがSKIRYMでは顕著で、それはゲーム世界を冒険する上でとても重要な要素だったから、買わずに自宅で育てられることが大きな意味を持っていた。
一方、Fallout4での作物づくりは、生産物を材料に作成できるものの幅がそれほど広くなく、出来上がるものもさほど重要ではなかったが、建物作りの自由度はSKIRYMのそれを圧倒した。
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ただ、ゲームのそれらと現実のそれらは大きく異なる。
種まきも壁張りも、ボタンひとつで瞬時に出来てしまうヴァーチャルなそれと異なり、現実世界では虫や埃に怯え、揃えた材料は何か足りず、ケガや体調不良に注意し(か弱いからな、私は)やる気をかき集めて、それでも慣れない作業には失敗し、力や技術が足りないため作業が思ったほど進まず、そのうえ翌日は筋肉痛、となる。
家の中に虫が入り、庭に虫が蔓延るのは耐えられないという、消極的な(しかし本能的で切実な)理由から、ないがしろにはできない。
そのうえ、気質が気質だ。
僕は「やらなくてはいけないこと」を無視して「やりたいこと」を優先する。
ただ「したくないこと」を(厭々、スローペースで)しているうちにだんだん楽しくなってきて、やがて「したいこと」に変わってゆく。
庭仕事なんて大嫌いだったし、家のリフォームなんて収入が10倍くらいあったら業者に頼んでいると思う。
ただ、時間はあるし、知らないことをするのはいつも楽しいのだ。
それにリフォームは材料/建築/土木といった工学系であり、庭仕事は生物/環境/化学といった科学系である。
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もともと子供の頃から移動が嫌いである。
高校は、家の近所だという理由で進学先を選んだし、小学校の頃は歩くのが嫌だったから登校(通学)しなかったことがある。
(大学は、近所になくてお金もなかったので進学を考えなかった)
大人になっても通勤が大嫌いで、自宅の隣に会社があればどんなにいいかと思っていたし、引っ越しを考えたこともしばしばである。
(以前の勤務先がこの家から徒歩3分の場所にあることは皮肉な結果だ。ここで暮らすことになったのはその会社を退職した5年後だったから)
移動というのは基本的に退屈だ。
その間、読書であるとか歌を歌うであるとか、考え事をするとかでもないかぎり、とにかく時間を無駄にしている気分になる。
ドライブが好きだという人間の気持ちが僕にはあまりよく分からないし、僕自身、自転車でときどき走りたくなる理由も分からない。
遠くに出かけることが楽しくないとはいわないが、僕は台所やトイレにいるだけで、新しい発見があり楽しい気分になることができる。
移動が苦痛なぶん、じっとしていればその方がラクで楽しいのだ。
だからあまり、観光に出かけたり、旅行に行ったりする気にならない。
たぶん行ったら楽しいのだ。
そこには新しい発見があり、新しい出会いがあり、あとはなんだろう、美味しい料理やお酒があるんじゃないかな。
そう。出来上がったお仕着せの楽しみから、突発的なトラブルに至るまで、楽しいことがあるのだろうとは思う。
お金や時間や手間を掛ける価値があって、それによって自身の内面世界も豊かになるのだろうと信じたい(そこまで信じていない)。
だから入浴時、僕は思い馳せる。
せっかく自由になったんだから、数ヶ月、旅をして暮らしたらどうかなぁ、と。
それはファッションとしてとてもカッコいいし、楽しそうであるし、他人に自慢もできる。なによりカッコいい。
ただ僕には自慢する趣味もなければ自慢する相手もいない。
お金を持って旅をすればそれで手に入る格好良さがカッコいいとも思えない。
そんな手軽な格好良さに飛びつくこと自体、むしろカッコ悪いことだと感じる。
そもそも楽しいのか、ひとり旅。
「あそこにね、見知らぬ川が流れていますね」なんて独りごちながら過去の回想でもするつもりか。
2人以上だったらそれはそれで(たとえ相手が恋人だとしても)なんだか面倒だ。
もちろん人間タイプの恋人というものに対して過剰な(悪い)思い込みが発生していることについて僕は否定しない。
しかし自分のことを1人でできるわけでもない人間にあれこれ指図される苦痛については心得ている。あれは苦痛だ。
(そういう厚かましさのない、奥ゆかしい人なら恋人にしてもいいとは思うが、最近の人間に奥ゆかしさという資質は存在しないように観察される)
育ちはじめのブロッコリーの葉をすべて食い散らかしたバッタから「もうちょっといい作物を育てられるようにならないとダメだよ」と説教されるような気分になる。
一族郎党見つけ次第、生かしておかないからな!(バッタの話です)
だから行くならひとり旅だ。
といって、去年はKさんと(Kさんの友人たちと)一緒に新潟に旅に出たか。
魚を食べに行ったのだ。
楽しかったし、魚もお酒も美味しかったけれど。
やはり移動が苦痛だ。
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「人生は旅だ」と誰かが言うだろう。
ならば僕には、人生が存在しない。
もし存在しても、その人生をしたくない。
移動しないで、ずっとひとつの、今居る場所で、のんびりぼんやりしていたい。
時間の経過によって、それでも物事は進んでしまうだろう。変化してしまうだろう。
あるいは物事は、自分に都合のよい方にばかりは進まないかもしれない。
同じ場所に居てさえそうならば、いったいどうしてここではないどこかに、新しさを発見する必要があるのだろう。
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<本日のポトフ>
微熱が残っている。
煙草を吸っても問題がない程度に回復したが、まだどこか、粘膜の炎症が引かないのだろう。
もう2ヶ月目の半ばだ。
この身体そのものが、長い旅のようだ。
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[NEXUS]
~ Junction Box ~
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[Engineer]
青猫α:赤猫:
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[Cat-Ego-Lies]
:ひとになったゆめをみる:
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