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// TimeLine:<2021-01-26>
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TITLE:
それなら復讐を始めましょう。
SUBTITLE:

~ Die or Lie. ~
Written by BlueCat

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:: ── お願い、皆殺しにさせて。私なんか、死んでもいいから。死んでいいから。

 



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//[Body]

 この数ヶ月、僕は僕が自分を殺そうとしている(あるいはしていた)理由について書こうとしている。
 そしてその記録の試みは、いまのところ毎回失敗している。

 

 ちなみにこの文書は、明らかに僕の自分語りに終始するので、何の面白みもないし、得られる教訓もない。僕以外の誰かにとって、なんらの役に立つものではない。

 ただ僕の希死念慮を解剖してゆくものではある。


 僕 ── 正確には「6歳以前」 ── が僕を殺す理由は簡単だ。
 僕が男性に属しているイキモノだから、ために僕を ── つまりは自身を ── 殺そうとしている。
 性自認的に ── 当時の僕が自身を女性だと思っていたから ── というわけではなく、純粋に男性そのもの、あるいは歪んだ男権主義によってもたらされる暴力や不幸に対する激しい憎しみの直情的かつ潔癖なる完全主義者の発想の帰結として「オトコ、(リアルに、かつ物理で)死すべし」と思っているのである。
 そしてヒヨコの雌雄判定のごとく「アヲネコくんは、こっちのグループだよ」とオスに仕分けられたその日から、当の僕自身さえも「死すべき対象」としてマークされ、リストされ、いつの日か実行力を手に入れたときに粛正されるべき対象として記憶されたのである。

 ために「6歳以前」が僕の中で人格としての熱を持ち、価値観が脈動し、今現在の「オトコとして順応した僕」とリンクしてからずっと発している疑念が「なんでまだ生きているの?」なのである。

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 しかしこんな感情をずっと抱えていると、生存行動そのものに自己矛盾を起こす ── ために睡眠や摂食が安定しなかった ── し、理由のない自己嫌悪(オトコだから、という理由はあるが、その価値観を受容するわけにもいかない)や無力感(僕は、僕を含めて一切の男性に「男性だから」という理由によって危害を加えたり粛正したりしていない)に襲われる。
 たぶん正しいはずなのだ。
 男性だという理由で嫌悪し、憎悪し、あげくにその生命を奪おうなんて考えたりしないことは。
 では(後付けで作られた今の僕ではなく、本来このカラダに存在していた人格である)「6歳以前」の抱えた悲しみは、憎悪は、正義は、間違っていたのだろうか。
 ここでも僕は矛盾を抱えることになる。
 間違っていないと断言して受け入れたい感情と、分からないと判断する理性とで。

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 露悪趣味があるわけでもないし、僕の過去のことをあれこれ書いて自己分析する過程を開示する趣味があるわけでもない。
 まして僕と誰かの関係をあれこれ書いて人に見せたいわけでもない。
 いずれも、むしろ嫌いなことだ ── 文章を書くということが、取りも直さず自身を削って貼り付けることに等しいとしても。
 それに、誰の何の役に立つわけでもない文書を誰もがアクセスできる環境に置くこと自体も僕の中では矛盾した感情を起こす。
 そうした矛盾や絡まった価値観の中で、どうにか文章を書き続けようとしているのだけれど、まともなものにならない。

 現在の僕は、今のところまだ簡単に自死させられる準備が整っていないため、最低でもあと2年、可能なら5年、欲を言えば妹がだいたい死ぬか認知能力を失うくらいまでは生きていた方が良さそうだと判断している。予定としてそれは残り19年である。
 しかしそんなオトナの事情は「6歳以前」の価値観の知るところではない。

 ために「6歳以前」の価値観を再び切り離して眠らせる方法も検討され、(猫会議により)可決された。
 にもかかわらず、一部の仮想人格から「それはしない方がいい」という倫理観の提示があり、結局「6歳以前」と現在の僕の矛盾した価値観は共存を続けている。

 おそらくそんなことはないと思うのだけれど、もし万が一、何の文書も残さず僕が衝動的に自死 ── 僕の中の異なる価値観によって殺されるわけだから正確な意味での自殺になるだろう ── をしてしまった(あるいはそれよりひどいことをするかもしれない)場合、周囲の人はかなり混乱すると思うのである。
 ニュースになったとして、おそらく「孤独に耐えかねて」といった解釈が一般的だろうとは思う。
 実際に僕はかなり孤独寄りの人間であり、接点を持つ人は少ない(努めて少なくしている)のだから。

 ために男性という男性を殺さないために、あるいは男性という男性を殺すために自殺をしたとして、そんな観念は理解されないだろうと思うし、理解されない方がマトモで平和だろうとは思う。


 僕が孤独を好むことは、僕を知る人のほとんども知っていて、そのうえ労働せずして暮らせるようなストレスフリーの生活環境を作った挙げ句に自殺というのも考えにくいと思われてしまうかもしれない。
 ありもしない容疑を掛けられる法定相続人にも申し訳ないし、そんなことで社会のリソースが消費されることは僕の本意ではない。
 なので、起こらないであろう自殺に備えて、僕は僕が自分自身を殺したがっているということを明文化して公開しておく必要があるとは思っている。
 まして自殺した人と関わりのあった人の多くは、自身の言動を振り返って責任を感じ、自分を責めがちだと言われている。
 僕のように無責任に生きている人間が、他人に責任を押しつけるのもまた不本意であるし、僕は他人を責めたいわけでもない。

 あるいは僕に何らかの責任を押しつけた事実をして、本来ならば責任を感じるべき人間は確かにいる。
 ただその多くは既に死んでしまっていて、あるいはわずかに生きている人間でも、責任を押しつけた後は我関せずのふうで生きており、特にこちらとしても関わりたくはない。

 そうした自死の責任の所在と原因を(まずないとは思うが)書いておこうと思ったのである。

 

 僕が遺言公正証書を未だ作っておらず(あるいは作ることができず)、相続人をきちんと用意していない(あるいはできない)ことは、僕自身(あるいは「6歳以前」が僕を殺すこと)への足枷として作用するため、当面は「6歳以前」の衝動を先延ばしにできると考えている。
 当時の彼が知らなかったことは、自身の性別だけではない。
 他者との関わりという領域を考えた場合、自身を生かしておいた方がよい ── 生かしておかざるを得ない ── 状況が存在するということを、未熟であるが故に認識することさえできなかったのだ。

 もちろんそれとて「6歳以前」を責める理由にはならない。
「6歳以前」の怒りや悲しみや苦しみは、当然そう感じて然るべきなのではないかと思う。
 僕は彼に味方する。誰が反対しても、僕は彼に味方する。彼はずっと(僕自身からも切り離されて)孤独に怒り悲しんでいたのだから。
 だからといって「いま死ね」と言われてもまだ困るのだ。まだすぐこのカラダを死なせるわけにはいかないのだ。このワタクシというイキモノ(あるいは価値観)が本来は彼を起源として発生しているとしても。

 アタマオカシイ文脈であることは承知しているが、僕は基本的にマトモなフリが多少は上手いほうのアタマオカシイ感じのイキモノであるからご容赦いただきたい。

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 ちなみに「6歳以前」を眠らせることに反対したのは仮想人格の「α/β」である。

  ── 僕はいくつかの記憶を失った埋め合わせとして、実体験として持っていない(つまりはありもしない)記憶や感情を保管するための価値観群を(実人格の記憶や価値観と直接混同することは社会適合の上で不都合なので)作り、それを実世界と関わり合わせるために仮想人格として機能させる方法を取るようにした。そのうち「17歳以前」と「6歳以前」に近い(穴埋めしている)ものが「α/β」である。

 

 とりあえず「β」がごねて、「α」があっさり結論した。
「現実(とそこに属する肉体)を存続させるために『6歳以前』を『なかったことにする』ことは、潔癖なる理想を実現しつつ被害を最小限にするために『現在』を殺すことと何も変わらない(オマエはバカか)」と。

 マタ殺スノ?
 何度、我々は自身を生かすために自身を殺すのか。
 救いの手なんて差し伸べられることはない。
 救済の日が来ることもない。
 肉を削いでも、血を流しても、骨を折っても、それでも我々は自らを損なうことがない。
 他者を屠り、血肉を糧にしても、我々が満たされる日は来ない。
 繰り返される痛みなら、続く殺しと搾取なら、それを自ら断ち切る手段を、そろそろ我々は作り出してもいいのではないか、と。

 我々の世界を変えることができるのは、我々の行動だけだ。
 現実を変える行動の、そのきっかけは、我々の認識そのものではなかったか、と。

 このカラダが実行力を持つことを待っていたのは「6歳以前」がそうであったように、僕たち自身もそうであったのだ。
 その発想は「放っておけばいずれ朽ちるのだから、それまで放置してしまおう」なんて、ものぐさな考えをしている僕とは対照的で驚いたものである。





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::いい匂いだ ── 君の魂の匂いだ。俺が信じるべきものはこれだという確信をくれる。俺に君を信じさせてほしい。シェルもボイルドも何も信じられず【鏡の向こう側】にいる。クリーンウィルがいたように。そこでは何の迷いも悩みもないかもしれないが、何の希望もない場所だ。俺はそこには行きたくない。





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[出典]

~ List of Cite ~


 文頭文末の引用は、
「第4章 導き 〜 Navigation 〜」

From

「マルドゥック・スクランブル[完全版] The 3rd Exaust ── 排気」(p.235-236)
(著作:冲方 丁 / 発行:早川書房)
 によりました。

 なお、引用文中の傍点強調は『【】墨付き括弧』にて記述しています。





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