ときどき書いているが、僕はあまり劣等感というものがない。
強いていえば、生きている時点、男である時点、ヒトの皮をかぶっている時点、実は猫である時点で、劣っているといえば劣っていて、だから劣等コンプレクスを感じてもいい。
しかし死んでいることは、女であることは、事実の人であることは、猫でないことは、果たしてそうでない事に比して優れているのか。
右より左か。下より上か。マイナスよりプラスか。オスよりメスか。モノより思い出か。キャッシュレスより現金か。カネか。やっぱりカネが好きか。俺よりカネの方が好きなんだな!
(あ。ここ笑うところです)
比較できない対称性を持つものを比較して、あっちの芝が青い〜! て言うなら向こうと同じ芝を育てろよ。
>>>
あるいは僕は仕事がない。
結婚して家庭を持っていない。
隠し子がいるらしい。
恋人がいっぱいいると言いつつ、1人もいない可能性がある。
ときどき2つの家のどちらかで、ガスや電気が止まることがある。
親戚づきあいを人並みにすることができない。
友達も少ない。
郵便物がきちんと目的地に到着することが未だに信じられない。
経済という概念の使われ方の一部を憎んでいる。
死んだ人間を憎んでいる。
ゆえに心が広い方ではない。
憎しみは個人的には生きるエナジィだと思っているから、もしかしたら精神的にとても歪んでいる可能性を否定できない。
狂人かもしれない。否定できない。
無職でも暮らしていける程度の経済力しかないので、所有している自動車は自転車よりはるかに古くて安く、エアコンは壊れて直す気にならない(まともに直すと購入金額の倍以上掛かる)。
いろいろな意味で、他人にありのままを話すと「ダメ人間」の烙印を押されそうである。
(押させるもんか!)
僕は相対的に、ある一定の基準のもと、他者と比較した場合、多くの人より劣っているのだろう。
でもそれをなんとも思わない。
競争して勝つことに意味を見出さない。
世界で一番猫っぽい! とかいうレベルになれるなら競争する価値はある。
でもレースには会場があって審判がいて、出場選手はごく僅かだ。
仮にその出場者の中で一番になったとして、出場していない誰か(あるいは本物の猫)に負けている可能性だってある。
年々、僕の中の猫らしさが衰えるとしたらどうだろう。レースは明日にでも開催したい。
むしろ今しよう、すぐしよう。
しかしそんなレースは無意味だ。
100匹の猫には100匹の猫らしさがある。
だから不便を感じない限り、電気が止まっていようが、郵便受けがいっぱいになっていようが、車がボロでクーラが使えなかろうが、気にしない。
そういうのを恥ずかしい、という人の気持ちや価値観は分かる。
でもその価値観を僕まで持つ必要を感じない。
その価値観に魅力を感じないのだ。
もちろん公共料金などは気がつけばなるべく払う(だからときどき忘れる)し、郵便受けはときどき大事な通知やマスク(奥さん。冗句ですよ、冗句)が入っているのでできるだけ毎日覗くし、車は道交法に触れたり、生命に危険を及ぼさないレベルに整備する。
春ごろエンジンから煙が出たことがあって驚いたが、僕はそういうボロい車を可愛いと感じるのだ。いきなり電源が切れる12年前のPCを愛用しているのと同じように。
だから多くの人の、劣等感がよく分からない。
劣等感を埋めるために誰かを腐して、その同意を求められたりすると疲れてしまう。
(あの人のああいうやり方は違うと思わない?)
(いいえ、私は何とも思いません)
自身を蔑んで無意識のフォローを求められるとぐったりする。
(私ってブスだし)
(勝手に決めつけないで欲しいし君の外見に興味ありません)
優越感を過剰に演出するための自慢やそれに類する見せつけ行為も下品で好きではない。
そんなにまでして、それほどにまで自分のことが好きなんだから、ちゃんと言ってやれよ! 告白しろよ! 告っちゃえ!
「第一印象から決めてました! 大好きです。愛してます。一生大切にするのでボクと付き合ってください!(この言い回しが面白いと感じるのは昭和生まれの証です。平成生まれは何のことか理解が及びません)」て言え、言ってしまえ。他ならぬ自分自身に言え。他人に言われるのを待つな、自分で自分に言ってやれ。ほれ好きなんだろ?
ぼかぁそのくらいの段階はとうの昔に終えているので、自分と相思相愛なのである。
だから自分の凄さや魅力を、いちいち他人に伝えたりする必要は感じない。自己愛が過剰になって自分ノロケを始めるなんて狂気の沙汰だ。
自分のダメな部分も然り。
いちいちあげつらうくらいなら別れちまえそんな奴。他の相手を探せ。
ダメなところも可愛いし、凄いところは尊敬する。
それが普通なのではないかと、自己愛過剰なワタクシは思ってしまうものですから、自己愛を他人の力で満たそうとする人を見ていると怖気が走るのである。
だって本人は他人を喰いものにしてる意識がないんだもん。
被害者ヅラして同調圧力を掛けるなんてそれこそ狂気ですよ狂気。
ということを書いて「ああ、やっぱりそういう愚劣なヒトたちに比べて青猫様はやはり素敵で賢くて素晴らしく思慮深い方なのですわ!」という周囲の反応を誘導してボクの劣等コンプレクスを満たすのであります。
……けっ!
いいんだよ。
「電気代くらいちゃんと払え」とか
「隠し子がいるなんて信じられないのび太さんのエッチ!」とか
「新しい車くらい買え、貧乏人め」と諸君はボクを罵れば。
僕がいっぱい褒めそやかして育ててしまったのだから。この僕を。
諸君からのヤサシサなんて信じないんだからなぁ、信じないぞぉ〜。ほんとだぞぉ〜。
にゃ!

