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// TimeLine:20200728
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TITLE:
根っこがないから平気なこと。
SUBTITLE:
~ TheFootless. ~
Written by Bluecat
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庭の、いわゆる雑草を抜いていた。
今年の雨は長く、災害も多かった。
幸い、僕の両手の届く範囲はいつも、比較的つつがない。
トイレのロールペーパーがコアレスだ、という自慢をしているのではない。
漢字にすると「恙ない」であって「筒がない」のではない。
もちろん、次姉は難病だし、母上は癌にかかって下半身不随だし、僕は無職だ。
僕たち姉妹は、ときどき、どうしようもないくらい、人間として破綻しているように思えることがある。僕自身も例外ではない。
端的に、僕たちには、コアがない。
自分の核が無いから、その穴を埋めるために、どうしようもなく、何もかもを駄目にしてゆく。
全員とはいわないが、そういう部分が顕著な者もいる。かくいう僕だって、まともな精神構造をしているとは思っていない。
でも僕に限っていえば、死ぬほど苦しいことや悲しいことなんて、もうないような気がする。
いちばん悲しい出来事は、遠い昔に過ぎ去ったのだ。
セミが殻を破って飛び立つように。
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家庭菜園ティスト1年生の僕は、庭を耕して、キュウリとナスとトマトとオクラとブロッコリィとニンニクとモロヘイヤを植えた。
おかげで、このところ毎日、2〜4本のキュウリを食べている。
浅漬けにして、食べている。
最初に食べるときは、本当にどきどきした。
初めて恋人とキスするときでさえ、こんなにはどきどきしなかったのに。
(まぁそれは、いずれ書くかもしれない)
そして、どういうわけかニンニクは全滅した。
ブロッコリィは葉脈のいちばん硬い芯を残して食い散らかされた。
僕は毎日のように、トウガラシをアルコールに溶かしたものを希釈した防虫液を、それらの葉にかけていた。
雨が洗い流してしまうから、時に葉を裏返して噴霧した。
アブラムシはほとんど付かなかったし、イモムシも、わずかにしか見なかった。
それなのに、柔らかい葉や芽を持つブロッコリィは、徹底的に食い散らかされた。
そして今日、草を取りながら気付いたのだ。
たしかバッタも作物に食害を及ぼすのではなかったか。
じつにいるいる、あちこちに細長いバッタが。
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ああ、神よ。
かのものは、我に直接仇為すものにあらず。
されどもワタクシは、復讐と名のつくものすべて徹底してゆくサダメなのである。言い換えると、そういうポリシィってことね。
かくして目についたバッタを、ある時は踏み付け、ある時は収穫ハサミで剪断し、少しずつ少しずつ、駆逐を開始したのである。
しかしこれは心が痛む。
もともと僕は昆虫が嫌いである。
ゴキブリ、クモ、ムカデ、手足が4本でないすべての生き物を、ことごとく恐れる。
それは本能の恐怖だ。
それでも僕は、その恐怖や嫌悪を克服しようとしてきた。蜘蛛なんか、今は可愛いと思うこともある。
いろいろなものを傷つけて生きている。
いろいろなものを殺して生きている。
生きる気力がほとんどないから、寿命を交換したいという人がいたら譲りたいくらいだ。
もちろんそんなことは不可能だし、だからといって積極的に死ぬ理由もない。
僕に繋がる僅かな人たちは、僕が生きることをどういうわけか望んでいる。
きっと同じだ。
自分の手で、魚を捌いたり、家畜を屠ったりしたくないから。
間接的にバッタを殺すことさえ、ひとたびその行為に疑問を挟めば心が痛む。
壊れている僕ですらこの有様だから、まともな人にはそんな殺生は無理なのではないだろうか。
少なくとも僕は、自分の作物を守るための間接的な積極性によるバッタ殺しがつらい。
だから考えずに殺すようにした。
きっとみんな、直接、身近な人の死を見たくないだけなのだろう。
見えないところで殺された、そのあとの素材がそこにあれば、痛くも痒くもない。
たまたまバッタは、それを殺しても、誰も僕を非難せず、法に触れて逮捕されもせず、その係累の心に僕に対する復讐の炎が灯されたりもしない。
それでどうやら葉っぱを食べてしまうから。
だから僕は殺す。
僕の周りの人は、僕が自死することを許さない。
僕にはその重さの違いが、いまいちよく分からない。
四捨五入で半世紀生きたのにこれである。
きっと何も分からないまま死ぬのではないかと、ときどき情けなくなる。
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弟子に言われることがある。
「猫氏は、今の世の中を想定して、準備していたのですか」と。
今の時勢、職を失って、次の職が決まらないなんてザラだろう。
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2020年、新型コロナウィルス(COVID-19)によって、人間社会は世界的な危機的状況に陥った。詳細は省く。
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たまたま僕は「新しいMac Proを思いつきでポンと買える」ほどには裕福でないけれど(僕の希望する最低限の構成で800k円する)「仕事もしないでのんびり余生を過ごす」程度の経済力を手に入れた。
以前のブログで「モテは理解できたから、次はオカネモチーだなぁ」という発言が、どういうわけか叶ってしまった。
まだ、理由や仕組みが分かっていない。
モテと同じ原理で世の中が動くと想定して、そのレールに乗るように振る舞ったらこういうことになってしまった。
だからときどき、僕はこの世界が、僕の妄想で仕上がっているような気がすることがある。
バッタだって、ひとたび完全に駆逐してしまえば、来年から数が減るだろう。
それ以外の害虫やいわゆる雑草、植物の病気も、僕は根絶しようと思ったらできるようにする。
弟子にすると、そういうのは努力であるらしい。
でも、僕は努力なんて大嫌いだし、努力した覚えがない。
モテようとして、それを実行したらモテになったように、オカネモチーになろうとして実行したらそうなり、バッタを根絶しようとして実行すればそうなる。
努力なんてどこにもない。
僕は本来の僕のポリシィ(バッタといえども、みだりに殺生しない)を簡単に捨てて、新しいポリシィ(バッタは殺す。できる限り徹底的に、できることなら間接的に。ただし直接殺すことを躊躇わない)で上書きする。
僕にとって、僕のアイデンティティがないというのは、こういうことだ。
僕の、誰にも譲れないコアなんて、どこにもないんじゃないだろうか。
必要さえ感じれば、なんだって譲って差し出してしまう。
悪魔に魂を売って「これだけでいいの?」なんて言ってしまいそうだ。
実際に、それで26人の恋人をフったし、それによってひどく傷付けた相手もいる。
(もちろん、そのまましれぇっとしている相手もいる。数年に一度しかやり取りのない恋人というのは、そういうものだ)
26人も一度に傷付けるなんて、大企業のリストラよりよほど少ないとは思う。
でも本来の僕は、そんなことをしたいわけでも、できるわけでもないのだ。
もちろん、必要だと思ったからしたのだが。
「必要だと思って、したくないことすらするのは努力です」と弟子は言う。
でも、努力したからといって幸せになれるわけではない。
最初からそれは知っているけれど、それでも、僕よりアタマノワルい人間が介在すると、その欲で、何かが歪んでしまうのかもしれない。
それに、必要だと思っていたことが、本当に、絶対に必要だと、どうやって判定するのか、僕にはまだ分からない。
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草を抜いていて、気付く。
地面から、ミョウガが、頭を覗かせている。
面白くなって、たくさん集める。
地面に這いずって、虫に悲鳴を上げ、泥と汗にまみれて、集める。
ちいさなボウルいっぱいに採れたそれを、キュウリと一緒に浅漬けにして、夕刻、食す。
庭に自生しているミョウガなんて、僕はとてもじゃないけれど信じられなくて、スリリングな気持ちの夕食だった。
たとえるなら、バーで隣に座った美人と親しくなって、どこかに連れて行って欲しいと言われるような気持ちだ。
悪くないけれど、絶対に信用できない。
1日1食のままなので、浅漬けだけで満足して数日になる。
三食絶対主義者なら、また眼を三角にして僕に怒るのだろう。
でも、そんな人たちはみな、僕のそばには居なくなった。
まだ生かしておくべきなのだろうか。
幸せを感じるアイデンティティすら、どこかに置いてきてしまった僕を。
抜け殻のように、佇むだけのそれを。
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[NEXUS]
~ Junction Box ~
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[Engineer]
-青猫α-/-赤猫-/-黒猫-/-BlueCat-/-銀猫-
[InterMethod]
-Algorithm-Blood-Chaos-Cooking-Darkness-Derailleur-Diary-Ecology-Engineering-Interface-Life-Link-Love-Mechanics-Memory-Stand_Alone-
[Module]
-Connector-Convertor-Generator-Reactor-Resistor-Transistor-
[Object]
-Garden-Human-Koban-Memory-Tool-
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[Cat-Ego-Lies]
-家庭菜園ティストの狂気-
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