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// TimeLine:20200724
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TITLE:
ただの過敏症です。

Written by Bluecat

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 電動チェーンソウを使おうと思って、気がついた。
 本体の根本で、電源コードが剥き出しになっている。
 被覆が破損したりはしていないが、内部で断線やショートがあってはいけないと思い、使う前に分解して確認すると、被覆の一部が傷んでいる。
 ショートするには至っていないが、いつか断線してしまいそうだ。

 そんなわけで、工具箱を前橋のアパートから持ってきて、修理の準備を始めた。
 問題は圧着端子で、これはホームセンタで買い足した。
(ここまでにひと月くらい掛かったが、これは急ぐ必要がないからだ。外はたいてい雨だし)

 ここで問題が発生した(ように錯覚した)。
 トリガ部品がスイッチ端子を押す設計なのだが、電源から見てスイッチの手前に比較的大きなコンデンサが設定されており、しかもそれが、どう見てもショート回路になっているのである。
 電気に詳しい人なら「当たり前のことで驚くな」と笑うかもしれないが、僕は工業高校卒なのに電気に疎い。
 卒業してから20年ほどになったこともあるが、学校で学んだことを活かす職場はほとんどなかったし、日常生活でも、あまり役立てられたことがない。
 職場のアプリケーションに対して、かなり大規模なマクロプログラムとインタフェイスを独学で構築し、仕事を干されたりしたことはある。
 また僕の使う端末は、だいたい僕以外の人が使えない(キーボードでタイピングすることさえ思い通りにできない)ようにしてしまうので、退職後に大騒ぎになることもあるが、それらはいずれも独学だ。

 とにかく学生当時から電気の授業は苦手だったし、弱電回路の勉強も満足に理解できなかった。
 半導体素子についても、ほとんどうろ覚えで得意なのはいつもソフトウェアの方だった。
 なので、いろいろ調べて確認した。

 コンデンサがスイッチ手前でショートしているのは、交流電源を直流にして、かつ整流するためだったのだ。
 となると内部のモータは直流モータということになる。

 ちなみに、弟子は僕と同じ高校を経て、工業大を卒業したので、DC(直流)モータにAC(交流)電源を与えた場合の挙動について質問したところ、分からない、と答えた。
 おそらく駆動しないのだろうと僕は予測する。

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 姉の中で、まだまだHSP問題がアツいらしい。
 彼女にとっては、HSPの存在を知ったことで、自身についての理解が深まったらしく、ために興奮醒めやらぬようなのだ。

 とはいえ、僕はそういった「己に対する定義づけ」に執心する人の熱量に、少々冷ややかだ。
(人に対して、なのではない)

 もちろんHSPのことは自分なりに調べたし、僕や姉がHSPであろう事も分かる。
 光や音や人の機微に対して過敏なこと、それによる感受性の高度化、さらにはそれを他者と共有し直す(他人の機微に敏感になっても、他人は自身の機微にさえ比較的鈍感な場合が多い)ための表現力の上昇。

 ジェンダー問題と同様、このフレームも、何かを解決するものではないと僕は考える。
 HSPの人間が、いくら自身を「私はHSPなのです」といったところで、一般的な感覚の持ち主に、その感覚は理解できない。
 せいぜい「過敏症の面倒なヤツが来た」としか思えないだろう。

 蛍光灯やブラウン管、劣化した半導体素子の待機ノイズ、太陽光の忌避、暗闇の中の微細光や音の反響による空間把握、他人の脈動や体温の変化を触れずに感覚したりできたところで、そんな感覚を持っていない人にとっては不気味で邪魔なだけである。
 たとえば蛍光灯の下で眠れる人がいる一方、蛍光灯があると眠れず、仮に眠れても浅い人がいるような場合、両者が一緒にいると、時には感覚の違いが積み重なって感情的なトラブルになることもあるだろう。

 HSPの人間にとって、自身がHSPであることを宣言するなど「私はめんどくさいヤツです」と言うに等しいように思えるのだ。
 宣言した本人は、それで理解なり協力なりが得られると期待するかもしれない。

 でも、知らない感覚について、人はどこまでも残酷になれる。
「なぜ光があるくらいで眠れないの? 私は平気だし、そんな人めったにいないよ?」
 といった具合に、自身の経験則だけで物事の道理を一意的に押し付けるのはよく見る光景だ。
 その上この社会は、人数が多いか、何らかの実用的な力を持つものの道理が優先される(資本主義で多数決主義なのだから当然に)。

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 だから僕は、自分をHSPだと、他人にアピールしたりはしない。
「過敏で、神経質で、めんどくさいヤツなんです」と先に謝ってしまう。
 説明したから理解できるだろう/してほしい、というのは乱暴な気がするのである。
 理解してほしいなら、(比較的)鈍感な人の感覚を理解して、それに対する礼節をわきまえてからだと思うのである。

 だからHSPの人や、HSCの親の一部に「敏感で困ってるんですぅ」という被害者姿勢や、「感覚が先鋭的ですごいでしょう?」と得意になっているフシが見えると、たとえそれが顕在的なものでなくてもげんなりしてしまうのである。
 そーゆーのがいるから、HSPに憧れたり、反動で非難する人間が出てしまうのではないの? と。

 HSPは体質である。
 過敏なことが凄いなら、鈍感なことだって凄いのだ。
 熱した天ぷら油に指を入れて、温度を計る料理人を何人か知っている。
 だいたい5℃か10℃単位の正確さで、揚げるものに適当な温度をコントロールする。
 それは鈍感で、かつ敏感なのだ。
 たかだか敏感なだけで、あるいは鈍感なだけで、自身や誰かを特別視したり、あるいは蔑む必要などないのだ。

 ジェンダー問題もいつか触れるが、自分たちを特別視したくてアツくなっている人と、外から見て困惑している人に大別されるような気がする。
(もちろん穏やかに周囲と調和を保っている人のほうか多いものとは想像するが)

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 実際のところ、僕自身はHSPで得をしたと思ったことはほとんどない。
 またHSPという定義が自分に当てはまると認識して、自身に対する理解が深まったわけでもない。

 暗闇で、僅かな光や音の反響を頼りに移動できるとして、光源なんていくらでもあるのだ。
 味や匂いに敏感だからといって僕のか弱い胃腸を守る以上の働きはしていない。
(20年ほど前から鼻炎になったので、現在の嗅覚は鈍いが)

 言語能力が高いことが相まって、人から「気取っている」とか「意味がわからない」と言われたりする。
 ガールと身体を重ねるとき、性器での性感ばかりを中心に展開される性交が虚しく感じてしまうことがある。
(性風俗に行かないのはそういう理由)

 個において役に立たず、他者とのコミュニケーションで齟齬を生む。

 もちろん、年々鈍くなってきていて、僕は人並みに鈍感になったのではないかと思う。
 それでも皮膚を撫でることが僕にとっては(抱えている病のためにも)重要で、だから、そういった部分は、あまり鈍くなっていないのかもしれない。

 いずれにしても僕がHSPであろうとなかろうと、僕という感覚器の外には出られないし、他の人が入るわけにもいかない。

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 僕にとっては、この身体の感覚しか知らないから、この身体をコントロールできればそれで問題がないし、存える方法を自分なりに考えて対処している。
(存えさせない方法は、とても簡単なので)

 たとえば熱めの風呂に入って水を浴びたり、なるべく自分の皮膚をくまなく撫でまわすのは、毛細血管の梗塞を解消するためであったり、あるいは微細な血栓が肥大する前に固着させないためであったりする。
 もちろん、心臓と血管に掛かる負荷はそれなりにあるから、多くの人はこんなことはしないだろうし、僕も勧めたりはしない。

 それでもこれらは、僕の体験の中で、僕の体調維持に有用である。

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 肉体的、あるいは心理的アイデンティティについて、ヒトはアツくなりがちだ。
 過激なヒトであれば、少数派にあっては「我々を理解し受け入れろ」と声高に叫ぶし、多数派にあってはそれを嘲笑し、差別する。

 ただ、いずれにも穏健派がいて、静かに互いを尊重しながら、日々を過ごしている。
 少なくとも僕は、世の中がそういうものだと思っている。

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 おそらくADHDや発達障害、ジェンダー問題のように、HSPもいつかは普通の、当たり前のものになっていくか、世俗に埋没してゆくのではないだろうか。
 少なくとも、そう願っている。

 今は過渡期だから、みんな目新しくて、それに該当する人は自分の中に発見した要素に興奮しているのだろう。

 僕にはこれらが、血液型のような扱いになればいいと思っている。
「え、なに猫クンHSPなの? じゃ、過敏で神経質なんだねぇ。こちょこちょしちゃうぞぉ!」みたいな。そんなふうにガールにかまって欲しい、という願望があるわけではないと思うが、されるのが嫌だと言うつもりはない。むしろしてもらってもいい。いいえしてくださいお願いします。

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 結線を終えて試運転したところ、問題がなさそうである。
 しかしwebで確認していたら、どうやらチェーンソウはオイルを入れて使うものらしい。
 今度はオイルを買いに行くとして、いったいいつになったら稼働できるのだろう。


今日の猫。








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