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// TimeLine:20200620
// NOTE:
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TITLE:
パラレルかくれんぼの鬼は、君を見つけることがない。
SUBTITLE:
~ Parallel paralyzed Palladium. ~
Written by 銀猫
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::ねえ渡。僕は宮園さんがとても好きだよ。
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//[Body]
たくさんの本を読む理由は、何度も何度も何度も何度も読み返すことのできる、たった1冊の本を探すためだ。
だから、1冊目で、そういう本に出会えた人は幸せであろう。
そして、100冊読んでもまだ見つからない人もまた、幸せであろう。
あるいは友人や恋人ならどうだろう。
死ぬまで一緒にいられる誰かを、生きている間に見つけられる人は幸せだろう。
100人友達ができて、100人恋人ができて、そのぶんの別れや痛みを抱えて孤独に死ぬのもまた、幸せなことだろう。
(基本的な倫理観に欠け、さらに人見知りで引きこもりを自称している生命体がこれを書いている)
あるいは、自分はどうだろう。
自分は、自分を一度しか生きられないだろうけれど。
一生のあいだに自分を何度も、あるいは自分以外をも何度となく。
生きられたら楽しいだろう。
何度も自分を繰り返したいと思える自分ならなおさら。
>>>
そんなことはできないと思っている人はたくさんいる。
たとえばゴキブリを嫌いな自分しか知らない人は、ゴキブリを好きな自分を知らない。好きになろうともしない。
たくさんを、並行して生きていると、すべて、じつのところどうでもよいものの集積のようにも思えてくる。
たくさんの自分というのは、突き詰めれば、誰でもあるということでもあり、誰でもないということでもあり、それは自分などないということでもある。
たくさんの自分でさえ自分でないなら、単一の自分が自分であろうはずもない。
その矮小こそが、自分である。
自分と呼ばれるもの、自我の本質だろう。
僕らは自分こそが自分であると思い込んでいるわりに、なにが自分というものの必須要素であるかを知らないし、理解もしない。しかもたいていそのまま死ぬ。
「自分は、自分が自分だと感じるから自分だ」というのは、「AはAだからAだ」というのと同じで、なにも説明していない。
それが愚かだとか、悪いということではない。
ただ、自分が自分であることを証明するのは、じつのところ簡単ではないようだということである。
>>>
僕は並列して、自分を失ってゆく。
失われゆく並列化された僕は、そして僕ですらなくなってゆく。
自我を失うことなく、より強固に己という意識を強めてゆく人たちを見て、だから僕は「なんて欲のない人たちなのだろう」と、皮肉でなしに思う。考える。
たったひとりの自分でいいだなんて。
たった1回の経験でこと足りるなんて。
たった1つの価値観でいいだなんて。
たったひとつの答えで満足できるなんて。
ただ一方向の感情でいいだなんて。
単なる一方的な視点でいいなんて。
ほんのわずかな他人でこと足りるなんて。
昨日とおなじ自分で飽きないなんて。
朝と昼と夜の食事が同じだと、飽きたり、場合によっては文句を言う人たちなのに。
朝とおなじ自分でいいだなんて。
なんて謙虚で、なんて無欲なのだろう。
>>>
並行して、たくさんの僕が、また僕に飽きてしまう。
「もういいんじゃない?」
それはさながらかくれんぼのようだ。
「もういいかい?」
「まーだだよ」
本当に?
本当は、もういいんじゃないの?
隠れた子たちは、もう誰も。
どこにもいなくなっているのではないの?
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::ばか。知ってるよ。
::……うん。
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[出典]
~ List of Cite ~
文頭文末の引用は、
「第40話 手と手」(p.177-178)
From
「四月は君の嘘 第10巻」(著作:新川 直司 / 発行:講談社)
によりました。
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[NEXUS]
~ Junction Box ~
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[Engineer]
-工場長-/-赤猫-/-銀猫-
[InterMethod]
-Blood-Chaos-Darkness-Life-Recollect-Rhythm-
[Module]
-Convertor-Generator-
[Object]
-Memory-
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[Cat-Ego-Lies]
-いのちあるものたち-:-ことばの毛糸玉-
//EOF
