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//TimeLine:20160828

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TITLE:
好きだった。
SUBTITLE:
~ Love you little, love you long. ~
Written by BlueCat

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::お待ち下さい! いついかなる時でも、私を信じて疑わない部下への信頼。それこそ私が今まで築き上げてきた財産の全てです! それを……!

::どうやら、その財産を使う時が来たようじゃないか。手筈は私が整える。君は部下を召集しておきたまえ。
 案ずるな、君がいれば部隊は再建できよう。



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//[Body]
 この街に暮らすようになったのはかれこれ20年ほども前のことで。
 つまるところ僕は自分の人生の半分くらいをここで生きてきたことになる。およそひとりで。

 僕の使う「およそひとり」というのが、僕以外の多くの人の語るところの「およそひとり」というのとは少々異なるようだということを、最近の僕は認識できるようになった。
 いかんせん、僕は僕の人生しか知らないがために、他の人のいう「およそひとり」というものが、僕に当てはまる「およそひとり」におよそ等しいものだとてっきり思ってしまうきらいがあったのではある。

 たいてい人の「およそひとり」というのは、今現在ひとり暮らしをしているとか、経済的・精神的に親から独立しているとか、現在恋人がいないとか、そういう「ひとり」である。
 実際のところ親元を離れても、たまに実家に帰って、しかもその上その実家に寝泊まりできる類の人は少なからずいるようだ。

 僕が実家を離れたのは、数年行方知れずだった姉が、いつの間にか結婚して離婚して再婚した挙げ句にまた離婚して出戻ってきた上、僕の部屋の半分以上を占拠したがために僕がダブルベッドを広げて眠ることも、友人を招いて溜まり場にすることもできなくなったことが発端ではある。
 そして実に、実家に帰っても、かつての僕の部屋に仮に入ることがあっても、僕はもう二度と、そこを「僕の居場所」としては認識できなくなっていて、ために父や妹と一緒に食事をすることはあっても(果たしてそんなことは一度もなかったかもしれないが)、寝泊まりすることは決してなかった。
 ちなみに僕が家を出て1年もしないうちに、件の姉はまた出奔し、行方が知れなくなった。

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 猫は場所に居着くという。
 たしかに僕はこの街がとても気に入った。
 裏に山があって、近くに河があって、どの市街地からも均等に離れたこの安普請のアパートは、にもかかわらず駅から数分の場所にあり、ほどよい距離にコンビニもスーパもホームセンタもあって、実に棲み心地のよい場所であった。
 ひとたび自分の場所が決まってしまえば、それ以外の場所は、僕にとっては、僕の場所ではない。
 だから、実家にも、長居することができなかった。

 子どもの頃に離婚した母は長女の家に暮らしていて、つまるところ物理的にはさほど遠い場所に住んでいるわけではないものの、時間的あるいは精神的な距離は(とくに軋轢があるわけではないものの、親子として暮らした期間の数倍の空白が横たわっているために)けっして近いわけではない。
 やがて僕の父は死に、行く末を心配していた妹はきちんと素敵な旦那様と結婚して幸せに暮らしている。
 実家はもうない。

 物理的な帰る場所は自分の選んだこの場所しかなく、子どもの頃の「家族」という記憶の拠り所を僕は持っていない。
 僕にはこれしかないから、これが普通だと思っていて、だから家族や、その記憶を持っている人をうらやましいと思ったことはない。
 使い道の分からない大きな道具を持っている人を見てうらやましく思う人などいない。
 ただ「なんだか重そうだな」と思うだけだ。

 しかしその「重み」を知るものたちの言う「およそひとり」というのは、つまるところ拠り所があって、そこから離れていることを指している。
 まるで引力圏に漂う衛星のように、彼ら(あるいは彼女たち)は「そこ」と自分の間にある重力の存在に縛られ、そして同時にそれに依存してもいる。
 一方、そんな重みを知らない僕の「およそひとり」というのは、つまるところ拠り所などハナからないという、近いも遠いもなく、帰る場所もはじまりの場所もない「およそひとり」なのではある。
 依存するべき引力もなく、ために縛られず、ために自由なのではあるが、彼ら(あるいは彼女たち)のある種贅沢ともいえる「引力病」は理解できない。

 親がいようが恋人がいようが配偶者がいようが、本質的な部分で、人間は「およそひとり」ではある。
 しかしその一方、遠い記憶の中に拠り所があるというのは、僕にたとえるなら、皮膚の奥に感覚的に帰る場所を持っているのと同じようなものなのではないだろうか。
 僕はそれを自分の感覚とその記憶の中にだけ持っている。
 多くの人は(すべての人だとは思っていない。そう思えるほどおこがましくなりたくないし、自分を特別扱いしたいわけでもない)自分と他人の関係の記憶の中に帰属する場所を持っている。

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 僕はこの街が好きで。
 この街を好きなった僕を好きだった。僕は僕の拠り所だった。

 それでも現実は面倒なもので、あれこれと理由をつけては他人を思うようにコントロールしたがるものらしい。

 そんなわけで、僕はこの街から出て行くことになった。
 僕はこの街を出て行くことにした。

 これからは見知らぬ街で、見知らぬ山を眺め、見知らぬ河の波を見つめることになる。

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 いつだったか
「あなたにも友達くらいいるでしょう? どうして大切なことを相談したりしないの? 楽しいときだけ一緒に遊ぶのが友達なの? 困ったことがあるなら専門家に相談するとかだってあるでしょう?」と嗤われたことがある。

 たとえばだけれど、僕の場合、友達や弟子から相談された場合、次のようにしか答えないし、そのように答えてきた。
「俺ならこんなふうにするよ。でも俺はお前じゃないし、お前は俺じゃない。
 俺に言えないお前の事情があるかもしれないし、お前のすべてが俺に理解できるとは思っていない。
 だからお前にお前の考えや希望があって、それが仮に俺の考えと正反対だとしたら、自分の考えを優先したほうがいい。俺はお前の考えを応援する」

 つまり僕の中でこんなふうだから、自分の考えがあるなら僕は友人に意見を求める必要がない。
 考えがないのだとしたら悩まないのだから、友人に相談する必要がない。
 結果として、僕は友人に相談する必要がない。
 実際、僕はBPやTUから、重要な相談事というのをされたことがない。
 されたとしても答えは上記の通りだし、男なら自分のことくらい自分で決めろよ、とは思う。

 じつに10代の頃の友人(当時のTUである)からは
「青猫は悩んでいても、苦しそうにしていても俺たちに何も相談してくれない」
 と言われたこともある。

 僕にとって、友達というのは、相談相手ではない。
 同列にいる者であって、先人ではない。
 では先人なら相談するのかというと、先人は先人で、自分の感覚や経験に左右されがちなのが人間の常であるから、そういう固着した視点しか持っていない(要はバカな)人に教えを仰ぐほど愚かでもない。

 それに困ったとき、苦しいときに利用するのが友人だろうか。
 たしかにそう考えると、友達というのはすぐれた財産かもしれない。
 しかし財産ってなんだろう。ずいぶんみすぼらしく下品な価値基準のように僕には思える。

 さらに付け加えるならば、僕の人生についての専門家なんてものは、どこにもいない。
 いちばんそれに近いのは僕自身だろうけれど、その僕だって、専門家というにはほど遠い。
 困ったことがあるたび、専門家に頼るのはしごくまっとうで、とても手軽な手法だろう。しかしそれによって、自分の人生の大切なピースを手放したりはしていないだろうか。

 最短距離の正解を手に入れることで、間違うという遠回りの道を知らずに生きているのではないだろうか。
 自分の生き方の専門家を目指すなら、間違って遠回りをした方がいいと僕は思う。
 たとえ明日死ぬとしてもだ。

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「およそひとり」の僕は引っ越しは業者を頼もうと思っていたのだが、BPが「メシ奢ってくれたら、俺が手伝うから2人でやろうぜ」と言ってきた。
 完全に学生のノリである。

 彼とは遊んだり、一緒にパイプ煙草をふかしたり、引っ越しの手伝いをするくらいしかない、じつに軽い友人関係である。

 しかし引っ越し先が未だに決まらない。由々しき事態である。(堂々としている、という意味ではないが、そう捉えても面白い)






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::とうとう9課もおしまいだな。せっかく今まで築いて来たもんがパーになっちまった。

::そう? 最新のメンテや最高級の装備を湯水のように使えたのは良かったけど、それだけよ。
 また新しいスポンサーを探すだけ……それとも何? バトーはあそこに何か未練でもあったわけ?

::ん? そういやねえか。まああるといえば思い出くらいなもんか。

::思い出? ずいぶん感傷的ね。



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[出典]
~ List of Cite ~

引用は、
「攻殻機動隊 ~ Stand Alone Complex ~
 第24話:孤城落日 ~ ANNIHILATION ~」
によりました。








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